クリエイターの言葉 ワン・ダイレクションから独立したルイ・トムリンソンの「選択と変化」とは?

インタビュー 2024.08.01

成熟した30代に向けたテーマは「選択と変化」。

ルイ・トムリンソン|ミュージシャン

社会を席巻したボーイズ・グループ、ワン・ダイレクションのメンバーとしてデビューし、グループ活動休止後からソロで新たな音楽の道を歩み出したルイ・トムリンソン。12月で31歳になるが、ようやくこれまでのキャリアを振り返る余裕が生まれたようだ。

「ここ10~12年間、本当にたくさんのことが起こった。でも実は、ほとんどの記憶がぼやけているんだ。ソーシャルメディアを通じて、こんなことがあったなと知ることもあるよ。いままで忙しすぎて、なかなか振り返る時間がなかったからね。いま記憶を辿ると、これまでの経験が素晴らしいものであったことに気付いていい気分になる。誰もがなかなかできるわけではないことを経験してきたんだよね。そして、同時に未来にも目を向けることができる気がするよ」

最新アルバム『フェイス・イン・ザ・フューチャー』は、これから始まる30代に向けて、自身の決意を綴ったもの。

「今回のアルバムのテーマは、選択と変化。自分の人生において、このふたつと常に向き合ってきた気がするし、それによって人間として、ミュージシャンとして成長することができた。また今後さらに成熟していくには、より向き合うべきものだと思う。選択と変化と向き合いながら、未来を信じるという気持ちを表現したいと思って、このアルバムを完成させたんだ」

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約2年ぶり、2作目となるソロアルバム。ロブ・ハーヴェイ(元ザ・ミュージック)、セオ・ハッチクラフト(ハーツ)などがソングライティングに参加。ロックオペラのような壮大な世界観を表現している楽曲から、ワン・ダイレクション時代を彷彿とさせるキラキラしたダンスポップまで、現在のルイの多彩な表情を感じられる仕上がりに。国内盤はボーナストラック付きの全18曲を収録。●『フェイス・イン・ザ・フューチャー』ワーナーミュージック・ジャパン BMG ¥3,190

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未来が不透明な世界の状況下においても、恐れずに自分の信じる道を突き進む。そんな強い決意を感じるリード曲「Bigger Than Me」など、ドラマティックな展開の楽曲が詰まっている。

「アルバム制作にあたり、影響を受けた音楽というものは特にないね。自分の頭の中にあるものを純粋に表現したかった。興奮させてくれるようなサウンドを作りたかったんだ。それに、前作からサウンドを進化させることも大切にしていた。追求していくうちに生まれた、オーガニックな音楽が集約された感じだね」

歌詞に関しても、さまざまなことを経験した現在だからこそ、思いをありのままに投影できているのだという。

「これまで、皆さんが本当に自分を支えてくれた。ファンの存在がなかったら、人間としてミュージシャンとして、ここまで辿り着けなかったと実感するようになったんだ。5年前では、絶対に気付くことができなかった感覚だね。だから、今後はより密接にファンと繋がり続けたいという思いも表現したんだよ」

ファンに感謝し、ともに歩み続ける。新たなステージに立った彼は、どんな輝かしい未来を見せてくれるのだろう。

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ルイ・トムリンソン/LOUIS TOMLINSON
1991年、イギリス生まれ。2010年にワン・ダイレクションのメンバーとして活動開始。20年よりソロ始動。21年には、男性ソロアーティストによるライブストリーミングコンサートの最多視聴記録を更新した。

*「フィガロジャポン」2023年1月号より抜粋

text: Takahisa Matsunaga

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