クリエイターの言葉 10月に来日公演も決定した、27歳のフィンランド出身「天才指揮者」とは?

インタビュー 2023.07.27

指揮棒が紡ぐ、飛翔するような高揚感。

クラウス・マケラ|指揮者

いま世界中のクラシックファンから熱い視線を集めているのが、弱冠27歳のフィンランド出身の指揮者クラウス・マケラだ。24歳の若さでノルウェーのオスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任、翌年から名門パリ管弦楽団の音楽監督にも就任した。

そのオスロ・フィルハーモニー管弦楽団とは2021年にシベリウスの交響曲全集を録音し、パリ管弦楽団とは22年10月の来日公演の直前にストラヴィンスキーのバレエ『春の祭典』と『火の鳥』を収録している。ライジングスターの登場には心が高揚し、胸の鼓動が速くなるものだが、マケラはステージに登場する姿から美しい。小走りに指揮台に向かい、一気にオーケストラの持てる力を最大限発揮できるよう全身全霊を傾けて作品へと没入していく。ストラヴィンスキーの『火の鳥』では序奏からフィナーレまで一瞬たりとも弛緩しない演奏に、聴き手も集中力を要求された。

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クラウス・マケラとパリ管弦楽団が2022年10月に来日公演し、参列した観客がこぞってスタンディングオベーションを送ったストラヴィンスキーの『春の祭典』と『火の鳥』。フィルハーモニー・ド・パリで2曲を収録した録音の第1弾がリリース。20世紀のパリの聴衆を沸騰させてきた稀代の名曲が、時を超え若き天才の指揮によってまったく新しい解釈とともに表現される、必聴の一枚だ。●『ストラヴィンスキー:バレエ《春の祭典》《火の鳥》』ユニバーサルクラシックス ¥3,080 視聴・購入はこちら 

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「パリ管弦楽団との日本公演は、私もオーケストラも記憶に残る素晴らしいコンサートになりました。ストラヴィンスキーの『火の鳥』は壮大でストーリー性があり、ひと筆書きで描いたような作品。『春の祭典』は原始的で生々しくダークなイメージも含まれています。2曲は非常に異なり、違ったパレットの色彩を要求される。録音は音響の素晴らしいフィルハーモニー・ド・パリで行いましたが、それが成功したので、日本公演でも強い絆が発揮できたのです」

オスロ・フィルハーモニー管弦楽団とは今年10月に来日し、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番(ピアノは辻井伸行)、R・シュトラウスの『英雄の生涯』、シベリウスの交響曲を演奏する。

「『英雄の生涯』は繊細さと力強さのバランスが大切、とても難しい作品です。今回のいちばんの聴きどころになりますね。シベリウスはフィンランド人にとって誇りとする作曲家で、子どもの頃から作品に親しんでいますから、まさに血肉となっています。私は美術館で絵を鑑賞するのが趣味で、同じ絵でも毎回印象は異なる。楽譜を見るのと同様で、常に新たな発見があります。いまはエル・グレコの絵に魅了されています。各地で指揮していますが、最近気付いたのは、いいオーケストラがある土地には必ずいい美術館があるということ。ですからリハーサルの合間を縫って、毎日のように美術館に足を運ぶんですよ。とてもリラックスできる時間です」

27年からオランダの名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任する予定。若芽が天空に飛翔していくような勢いに満ちたマケラの活躍。その音楽は至福の歓びを与えてくれる。

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KLAUS MÄKELÄ/クラウス・マケラ
1996年生まれ。12歳からシベリウス・アカデミーにて学ぶ。スウェーデン放送交響楽団の首席客指揮者に就任、「数十年に一度の天才の登場」と評される。オスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、パリ管弦楽団の音楽監督に就任し「数十年に一度の天才の登場」と評される。2027年からはオランダの名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者への就任も予定している。23年10月、東京芸術劇場コンサートホールを皮切りに全国で来日公演決定。
■来日公演情報:クラウス・マケラ指揮 オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
10月18日(水)東京芸術劇場コンサートホール
10月20日(金)アクトシティ浜松 大ホール
10月21日(土)愛知県芸術劇場コンサートホール
10月22日(日)フェスティバルホール
10月23日(月)サントリーホール
10月24日(火)サントリーホール
10月26日(木)熊本県立劇場コンサートホール
公演詳細:https://avex.jp/classics/opo2023/

*「フィガロジャポン」2023年8月号より抜粋

text: Yoshiko Ikuma

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