「春画」は映画表現の原点? 安達祐実が『春画先生』に出演した理由とは。

インタビュー 2023.10.10

塩田明彦監督が脚本から手がけたオリジナル映画『春画先生』は、春画の性表現への豊かさに魅了され、春画研究に人生をかける芳賀一郎(内野聖陽)と、彼との出会いに喚起され、春画の魅力に没入する女性、春野弓子(北香那)の一筋縄でいかない恋模様を描いた作品である。

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春画研究に命をかける一郎(内野)と、その姿に心奪われ、同時に春画の魅力にもはまり込んでいく弓子(北)たちが旅する怪しい世界とは?Ⓒ2023「春画先生」製作委員会 ※画像をクリックすると予告編が観られます。

企画の発端は、2015年9月、私立博物館である永青文庫で開催された『春画展』。3ヶ月の開催期間中、21万人もの人が押し寄せた展覧会には、本作の小室直子プロデューサーと、塩田監督の姿があった。『風に濡れた女』(2016年)でタッグを組んだふたりが、江戸時代には笑い絵と呼ばれ、子どもから大人までがフラットに鑑賞されていた春画が、明治以降は厳しい検閲でタブー視され、人々の性描写への意識も変えてしまったことを、春画先生こと芳賀一郎の解説とともに明かしていく。映倫審査で区分R15+の指定を受け、商業映画として全国公開される作品としては、日本映画史上初、無修正での浮世絵春画描写が実現した作品である。

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一郎がめくるめく快楽の夜をともに過ごした妻伊都と、その双子の姉にして一郎のかつての恋人である一葉を演じた安達祐実。Ⓒ2023「春画先生」製作委員会

一郎は春画の性描写には無制限の理解を示す識者である一方、自身の恋愛では妻亡き後、徹底的に禁欲を課し、好意を持ちながらも弓子からのアプローチをかわして行く難攻不落の男である。この一郎の亡き妻である芳賀伊都、そしてその双子の姉、藤村一葉の二役を演じるのが安達祐実である。弓子にとって、一郎の過去を知る麗しき女性、一葉の登場は心穏やかには居られない。一葉は硬直した一郎と弓子の関係にどんな影響を及ぼすのか。春画の愛好者でもある一葉役を通して、安達祐実に「表現とタブー」を演じた意図について聞いた。

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text: Yuka Kimbara photography: Mirei Sakaki styling: Shota Funahashi(DRAGON FRUIT) hair & makeup : paku☆chan(Three PEACE)

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