クリエイターの言葉 今年のバレンタインは、ブノワ・ニアンの限定チョコレートを。

インタビュー 2024.02.09

ショコラティエは、仕事ではなく人生そのもの。

ブノワ・ニアン|ショコラティエ

「私にとってショコラティエになるということは、単なる仕事ではなく人生なんです。エンジニアから転身して、良質なカカオ豆を求めて世界中を旅し、生産者をはじめたくさんの人々と出会い、まったく違う新たな人生を歩み出すことができたと思っています」

そう語るのは、ベルギーのショコラティエ、ブノワ・ニアン。シングルオリジン(単一産地)を超えた単一農園・単一品種のカカオ豆にこだわり、カカオ豆からチョコレートになるまでの製造工程を一貫して行う「ビーン・トゥ・ショコラ」の旗手だ。

「いまではビーン・トゥ・バーの名で、チョコレート作りを企業ではなく個人で手がける職人も多くなりましたが、私が始めた当時はほとんど存在せず、すべて手探り。製造のための機械も、工場で使われる大型のもの以外は、19世紀や20世紀前半に作られたアンティークしかなく、自分で修理して使うという難しい挑戦でした」

それでも歩みを止めなかったのは、知れば知るほど奥深いチョコレートの世界に魅了されたから。カカオにはたくさんの品種があり、それぞれに味が異なるのはもちろん、育てられる畑の土壌や気候、育て方、収穫後の発酵や乾燥の方法によっても風味が変わってくる。

「それはまるでワインのよう。混ぜて複雑味を出すこともできますが、私は単一農園・単一品種にこだわってそれぞれの個性を大切にし、純粋で繊細な味のニュアンスを表現したい。効率は求めず、低温で長時間かけて焙炒し、じっくりコンチング(なめらかにする工程)して、そのカカオ豆が持つ芳醇なアロマを最大限に引き出します」

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毎年大人気のシリーズに新作が加わって登場。空の色をイメージした新作の「ブルー デ トワ ピスタチオ」は、サクサクと香ばしいピスタチオのプラリネを閉じこめて。アクアマリンの色を映した「ブルー デ トワ エイギュ・マリン」は、カシス×レモンの果実味弾けるガナッシュ入り。「ブルー デ トワ ブリュム」は、朝靄を思わせる白みを帯びたブルーのハートに、アカシアはちみつ×オレンジブロッサムの柑橘の香り豊かなガナッシュが入っている。ブルー デ トワ 24 各¥3,564

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こうして出来上がったチョコレートは、タブレットだけでなくボンボンショコラにも。淡いブルーのハートが並ぶ「ブルー デ トワ」は、ベルギーで「あなたに夢中」を意味するバレンタイン・ホワイトデーの人気商品だ。今年の味わいは、ピスタチオプラリネ、カシス×レモン、アカシアはちみつ×オレンジブロッサムの3種。香料は使わず、ナチュラルな素材だけをチョコレートと合わせ、繊細でクリアな味と香りを、多彩な食感や組み合わせとともに表現する。

「チョコレート作りの魅力は、正確さが求められること。小さなミスひとつが味全体に影響し、思いどおりのものを精密に作るのが難しさであり、おもしろさでもあります。私が作るチョコレートで、カカオの生産者からチームのスタッフ、お客さままで、チョコレートに携わる人々に幸せを感じてもらえるのは、うれしいこと。この道を選んで本当によかったと思います。これからも自分の理想を変えることなく、カカオの探求を続けていきたいですね」

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BENOIT NIHANT/ブノワ・ニアン
1974年、ベルギー生まれ。生産者との関係を大切にし、世界各地のカカオ農園を自ら訪問。適正価格での直接取引を信念に、単一農園・単一品種のカカオ豆によるチョコレートを手がける。本店をリエージュに構え、2023年銀座に旗艦店をオープン。

*「フィガロジャポン」2024年4月号より抜粋

text: Reiko Seto

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