おごらず、愛をもって。齋藤飛鳥、25歳の現在地。

インタビュー 2024.02.24

2023年5月、東京ドームで行われた齋藤飛鳥の卒業コンサートは「卒業する自身ではなく、愛する後進のため」のステージだった。圧倒的センターという、ときに孤独と戦うポジションでありながら、常に愛であふれていた人。グループを卒業し、個の歩みをはじめた25歳の齋藤飛鳥に等身大の"いま"の気持ちを聞いた。メゾンのルックをモードに着こなしたファッションストーリーの写真とともにお届けする。


asukasaito_3.jpg

──今回「フィガロジャポン」の撮影ではオールインをテーマに撮影をしましたが、いかがでしたか。
普段からメンズライクなアイテムを選ぶことが多いので、オールインワンも好きなアイテムのひとつです。私は身体が小さいこともあって、ぱっと見たときに男性的な印象を与えられる要素が少ないと思っているんです。女性であることの強みは感じながらも、自分の中で無意識にジェンダーを超えるパワーとなるものを探しているのかもしれません。そういう意味で、オールインワンは自分の概念をアップデートできる服という発見がありました。

──齋藤さんは現在、25歳ですがこれまで生きてきた中で変わらない考え方はありますか。
25年とまではいかないのですが、この10年くらいは「自分にも、人にもあまり期待しない」ことを頭の片隅に置いています。過度な期待をかけて自分にがっかりしてしまうとしんどいから、心の健康を守るという意味で。期待しないって一見、ドライな印象を受ける言葉だと思うのですが、そのためには愛をしっかり持つことが大切だと思っているんです。たくさんの情報があふれている中で、自分も相手も愛をもって守る。なかなか難しくて自分ではまだ愛を使いこなせていないな、とも思うのですが......。

── "愛"という言葉を聞いて、2023年5月の卒業コンサートがリンクしました。自身のためのセレモニーではなく、後に続く後輩たちのためのステージ構成でしたね。ファンの方へ「乃木坂46をこれからもよろしくお願いします」というラブレターを送っているような印象を受けました。
グループ在籍中、自分のために頑張った経験もたくさんあるのですが、それ以上に後輩に対する思いが大きくなっていったんです。私はいろいろと経験させていただいてコップの水がいっぱいになるくらいやりきれたという気持ちもあったので、これからは楽しさもしんどさも後輩たちに全部感じてもらいたいという思いから私は卒業へと向かいました。私自身、人間性ができているわけでもないので、ひたむきに頑張る後輩たちの姿が自然とその決断へと導いてくれたような感じです。

---fadeinpager---

6cca1372321e3147faa5745e32f44ec676901293.png

── 11年8ヶ月のグループ活動が一区切りついた後、少しはゆっくりできましたか。次のステップのことをどう考えていましたか。
はい、ゆっくり過ごせました。私の中でグループの存在はとても大きかったので、そこから抜けて立ち止まってもう一度考えてみてもグループにいてよかったなとか、あのグループでこれだけのことがやれてよかったなという気持ちしかありません。今後、個人として何か大当たりしようなんて気持ちは正直なところなくて......。ただ、いただけるものがあるなら細々とやりながら、自分の人生と周りの人の人生が充実すればそれでいい。仕事一本にもならず、こだわりすぎず、少し気楽に生きていけたらいいなと思いながら、今後のことは考えていました。

──とはいえ、個人活動をスタートしてからも、ドラマや映画など話題作への出演が続いています。芝居や表現をする仕事に関してはどう向き合っていますか。
いまは一人でやることはないのですが歌もダンスも、そしてお芝居も、私はどれも得意なわけではない。お芝居だって私がこの役を絶対やらなければというものもないと思っているので、フラットに捉えるようにしています。ただ、携わらせていただく作品は、私自身が何かに共感したり、こういうことを世の中に伝えたいんだというメッセージに感銘を受けたりするものが多いので、私が何かを表現したいというよりは、もっと大きな、それを作る監督やチームが世の中に表現したいものを少しだけお手伝いしたいという気持ちです。

──これから年齢を重ねていく中で、どんなことを大切にしたいですか。
私はまだできていないのですが、自分よりもまわりの人を大事にすることを早くできるようになりたいと思っています。きれいごとに聞こえるかもしれないのですが、自分を犠牲にしても誰かのために行動できる人に憧れます。そのために、人生の経験値を上げていきたいですね。 

──最後に、齋藤さんにとって美しさとは何でしょうか。
しいていうなら「美しい」はささやかであること。私は、自分よりまわりの人を幸せにできる人に憧れているけれど、それは大金を配るとか、何か大きいプレゼントあげるとかそういうことではない。日常のささいなことで笑ってくれたり喜んでくれたり、欲張らず、ささやかなものやことに幸せを感じられることが美しいのかなと思います。

Profile 
齋藤飛鳥/Asuka Saito
1998年8月10日生まれ、東京都出身。乃木坂46の1期生としてデビューし、2023年5月に卒業コンサートを行う。『映画 マイホームヒーロー』の公開が3月8日に控えている。2024年冬始動のAmazonと東映の共同プロジェクト【推しの子】では、伝説のアイドル、星野アイ役で出演決定。@asuka.3110.official

「フィガロジャポン」4月号では、齋藤飛鳥がオールインワンをモードに纏う。WEBオリジナルのファッションストーリーをチェックして!

オールインワンと、齋藤飛鳥のスピリット。

 

text: madame FIGARO japon

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

Business with Attitude
Figaromarche
あの人のウォッチ&ジュエリーの物語
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories