映画『エヴァの告白』で新境地を見せたマリオン・コティヤールにインタビュー。

インタビュー 2014.03.11

公開中の映画『エヴァの告白』で、敬虔なカトリック教徒ながら生きるためにNYの闇社会で娼婦に身を落とした女性エヴァを演じたマリオン・コティヤール。ロシア系ユダヤ人であるジェームズ・グレイ監督が自身のルーツを紐解き制作したこの作品で、彼女はまた新たな境地を切り開いた。そんなマリオンにインタビューし、映画の撮影秘話、ライフスタイルや美容、ファッションへの価値観について伺いました。

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―― 『エヴァの告白』はジェームズ・グレイ監督があなたのために書いた脚本ということですが、プロットやキャラクター設定など、脚本を書くにあたって監督からあなたに何か相談されたことはありますか?

マリオン・コティヤール(以下M):「そうなの。ジェームズ・グレイ監督と、ホアキン・フェニックスと一緒に準備する時間がありました。この話はジェームズにとって、とても個人的な作品なの。彼のお祖父さんがアメリカに移民してきたことから、本作のインスピレーションを得ているから。彼は自分の話を私たちに共有してくれて。だから、私たちも個人的な話を共有したの。私生活を見せるというわけではないけど、パーソナルな経験を感情理解に使うのは初めてだった。ジェームズとホアキンと、ジェレミー・レナーとも話し合ったのだけど、4人には共通点があることがわかったの。素晴らしい時間だったわ。感受性の強い人たちと集まって、一緒にキャラクターを掘り下げていく作業だった。特に複雑なキャラクターだったから、理解するのに必要な時間だったと思う」


―― エヴァの人生に、ブルーノとオーランドという2人の男性が大きく関わります。エヴァにとって彼らはどういう存在だったのでしょうか? またエヴァは結局どちらを愛していたのか、どちらも愛してはいなかったのか、ご自身の解釈を教えて下さい。

M:「彼女は二人とも愛していなかったと思った。彼女はただ、生き抜く希望を探すのに必死だっただけ。オーランドと会ったときに、彼のことを"嘘つきというわけじゃないけど、現実を都合よくしようとする人だ"ってことを見抜いている。それをわかっているんだけど、たとえ彼の舟が沈むとしても、生きるためには何かしらの舟に乗る必要があったのよね。二人のどちらとも恋をしたとは思わないわ」

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―― 1000人ものエキストラと一緒に撮影したという、実際のエリス島での撮影はいかがでしたか。

M:「エリス島で撮影をしたのはとても特別な体験だった。フランシス・フォード・コッポラですら撮影許可がおりなかった島で、初めはジェームズも許可されなかったのだけど、彼は自分の家族の話をして、『この映画はエリス島で撮影できないなら撮れない』と説得したの。島では4~5晩撮影して、たくさんのエキストラもクルーもいたんだけど、とても特別だったわ。なぜならその場にいた人たちのほとんどが、エリス島にまつわるエピソードを持っていたの。たくさんの人と話をして、彼らの家族の物語を聞くことができた素晴らしい時間だった。思い出や気持ちがあふれ出して感情的になっている人もいたわ。彼らからは、そういった記憶を共有したいという気持ちが伝わってきた。とてもエネルギーにあふれて、とてもエモーショナルで。それが何か特別な夜につながったと思います」


―― 映画は最後までシリアスですが、撮影現場では何か笑ってしまうようなエピソードもありましたか?

M:「ええ、たくさん笑った。ジェームズ・グレイはとても楽しい人なの。ジェレミー・レナーとホアキン・フェニックスもよ。あまりにもくだらないことで笑っていたので、私たちは子供のようだったわ」

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―― ところで、あなたは昨年"世界で最も美しい顔"に選ばれましたが、そのときのご家族や周りの方の反応はどうでしたか?

M:「どこからどうなってそんな話になったのか......。美しさの定義がわからないけど、自分のことを美女だと思ったことはないのよ。どうせ来週には他の人に変わるわよ。私は気にしていなかったし、私の家族も全然気にしていなかったと思う。家族は私の幸せを願ってくれて、『あなたが幸せなら私も幸せ』という人たちなの」


―― 美容にはどんなふうに気を使っていますか?

M:「あまりきちんとした生活を送っていなかったときがあったので、今は、ちゃんとしなきゃと思っています。定期的に運動していないけれど、睡眠は取るようにしているし、水を飲むようにしている。大したことないけど、できることをね。特に秘訣はないのだけど、母と祖母の肌がとてもきれいだったので、彼女たちのおかげかな。簡単にはいかないとこもあるけど、自分らしくいること、自分を楽しむことを心がけています」


―― ディオールのイメージキャラクターをつとめていますが、ファッションへのこだわりは?

M:「ファッションの哲学もコンセプトもないのだけど、ディオールの仕事をする前は、ファッションは私にとって遠いものだった。ディオールの仕事をしてみて、ファッションはアートや自己表現のひとつだと気付いたの。なにを着るかで自分を表現する。最近はそういうことにも興味を持つようになったわ。私はファッションについて話すのがあまり得意じゃないけれど、以前よりはその世界やデザイナーに魅了されるようになった。とてもクリエイティブで、なんでもミックスできるから」

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―― オンとオフのバランスは、どのように取っていますか?

M:「仕事のときは、レッドカーペットの上だったとしてもどこか演じている。自分だけど、ちょっと自分じゃないという感じ。私生活ではメイクしないし、ヘアスタイルもそのまま。私の世代は、見た目をそんなに気にしないのかも。私の母親は、髪を整えずに家を出るなんてことは絶対になかったから。自分のケアをしないわけじゃないけど、ちょっと感覚が違うのよね」


―― 何度か来日もされていますが、日本語で好きな言葉はありますか?

M:「あまり知らないの。でも、そうね。私は『サケ』が大好き! お酒もワインと同じように、いいものとそうでないものがあるのよね?」


―― 日本のファンに、一番の見どころとメッセージをお願いします。

M:「ジェームズ・グレイ監督、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナーと私はこの映画にたくさんの思いを込めました。私たちはこの作品を撮ることをとても楽しんだし、たくさん自分自身を捧げた。とても誇りに思っています。是非『エヴァの告白』を観てください」

『エヴァの告白』

製作・脚本・監督/ジェームズ・グレイ

出演/マリオン・コティヤール、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナー

配給/ギャガ

TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほかにて上映中

http://ewa.gaga.ne.jp

© 2013 Wild Bunch S.A. and Worldview Entertainment Holdings LLC

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