監督・脚本・主演作『the Future ザ・フューチャー』公開マルチな才能を見せるミランダ・ジュライにインタビュー
インタビュー 2012.12.26
『君とボクの虹色の世界』で監督デビューを果たし、短篇小説集「いちばんここに似合う人」等、作家としても注目を浴びるアーティスト、ミランダ・ジュライ。待望の新作映画『the Future ザ・フューチャー』では、彼氏と同棲4年目を迎えたソフィーが、モラトリアム、カップルの倦怠、ネット依存などの問題を抱えて揺れる35歳のヒロインを自作自演する。ノスタルジーを掻き立てる独特なトーンのなか、繊細な心の揺らぎがメランコリックに描かれる新作について聞いた。
----6年ぶりの長編映画第2作ですが、今回も実体験から生まれた感覚の多くが盛り込まれているのでしょうか。
ミランダ・ジュライ(以下、M・J):「明らかに自分の人生から引き出しているものが多いし、私のキャリアはパフォーマーとして始まったから、主人公ソフィーを私が演じることも自然の成りゆき。『君とボクの虹色の世界』の後、他のアート・プロジェクトをやりながら、同時に2作目映画を早く作らなければという使命感のようなものがあって。試行錯誤して時間ばかりが過ぎるうち、周囲に子どもが生まれたり、育っていったりというのを見るにつけ、自分がそこにとらわれたまま動けないでいた。その時間の流れが映画にも漂っていると思う」。
----前作の後、いつも自意識について考えているとおっしゃっていましたが、自意識も本作のテーマのひとつですか。
M・J:「自分でも自意識が強くなったと感じていたの。それは、何かを成功させなければならない。誰かにみられる、さらに男性に家の中で見つめられるということにとらわれるソフィーの言動に現れているわ。その自意識のメタファーとして情事を描いたの。ソフィーは自分が属する次元を捨てたいと願って浮気をするけれど、結局、情事というものは愛情や欲望とは関係ない。親密なものになりえないということに気づくのね」。
----映画のラストを見て、このカップルは別れる、別れないで男女の意見が二分されたと聞きました。そのあたりは見る人に委ねているのですか。
M・J:「ラストについては、ある種の"哀しみ"が欲しかったけれど、カップルの行方を特に暗示したつもりはないの。私自身、希望を持ちたい人間なので、あまり暗くは考えていないけれど、タイトルに使った"The Future"という言葉ほど希望と恐怖に溢れた言葉はない。若いカップルにとっても、未来は不安でいっぱいよね(笑)」。
LAにいるミランダとSkypeで行われたインタビューの最後、生後8ヶ月の息子ホッパーの写真をちらりと見せてくれた彼女。そしてPCカメラ外からは「ハ〜イ!」と、ホッパーちゃんのパパであるアーティスト、マイク・ミルズの声が。彼の監督作『人生はビギナーズ!』には、彼とミランダとの出会いが盛り込まれている。
texte:Reiko Kubo
『the Future ザ・フューチャー』
監督・脚本:ミランダ・ジュライ
出演:ミランダ・ジュライ、ハミッシュ・リンクレイター、デヴィッド・ウォーショフスキー、ジョー・パターリック
配給:パンドラ
2013年1月19日(土)より、シアター・イメージフォーラムにて公開、全国順次公開予定
http://www.the-future-film.com/
©The_Future_2011
【イベント情報】
●ミランダ・ジュライ最新作『ザ・フューチャー』公開記念"ガール"トークショー!
『ザ・フューチャー』の公開を記念して、著書「女子とニューヨーク」が話題のコラムニスト山崎まどかさんと、「ガール・ ジン『フェミニズムする』少女たちの参加型メディア」(アリスン・ピープマイヤー著)の翻訳で知られる野中モモさんによる"ガール・トーク ショー"を代官山蔦屋書店で開催。
日時:2013年1月7日(月)19時~20時30分(18時45分開場)
会場:代官山蔦屋書店1号館1階総合インフォメーション広場
定員:70名
参加条件:『ザ・フューチャー』チケットセットを電話予約、オンライン予約、店頭(12月下旬より店頭販売開始予定)購入頂いたお客様にイベント参加券を配布。参加券はなくなり次第終了となります。
詳しいお申込み方法はこちらから>>
http://tsite.jp/daikanyama/event/001433.html
●『ショートフィルムズ・バイ・ミランダ・ジュライ』
『ザ・フューチャー』の公開を記念し、原美術館にてミランダ・ジュライによるショートフィルム6作品を一挙上映。世界中の映画祭で上映されながら、日本ではまだ紹介されることの少ない彼女の短編作品に触れることのできる貴重な機会です。当日は「いちばんここに似合う人」翻訳者、岸本佐知子氏によるアフタートークも開催。
日時:2013年1月13日(日)17時30分~19時30分
会場:原美術館ザ・ホール
参加費(入館料含む):一般2000円、学生1700円、原美術館メンバーシップ会員・イメージフォーラム会員1000円
申込受付開始日:2013年1月5日(土)(先着順・定員80名)
イベント詳細、申込方法は原美術館サイトにて。
http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
●インスタレーション作品『廊下』を展示
ハラ ミュージアム アーク(群馬・渋川)にてミランダ・ジュライの大型インスタレーション作品『廊下』の展示が決定! 2013年3月16日(土)~6月26日(水)まで開催の「紡がれた言葉―ソフィ カルとミランダ ジュライ/原美術館コレクション」展に出品されます。