美しい投資術 Vol.12 "おいしい" 投資話にご用心。 見極めるリテラシーを身に付けて。

フィガロジャポン2021年7月号から連載「美しい投資術」をスタートした、個人投資家/資産運用アドバイザーの廣田里那さん。今回は投資にまつわる詐欺に騙されないためにはどうすればいいかを聞きました。

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photo: iStock

1年間、資産を殖やす方法をお伝えしてきましたが、まず大切なのは、いまの資産を「守る」こと。私はSNSやYouTubeなどからも投資情報を収集していますが、札束や高級車、ブランド品などの画像と「投資でこんなに儲けました」とPRしているアカウントや動画は、詐欺的な投資勧誘かも、と思ってしまいます。

よく耳にするのは、仮想通貨の投資詐欺の話。投資家から集めた資金を運用していると見せかけて持ち逃げするとか、新しい仮想通貨を発行すると出資を募るも資金がいつの間にか消えるとか。その話を持ちかけてきた友人も騙されていることも多い。人脈は大切ですが、いいことしか言わない人には気を付けて。そもそもお金を「人」に預けることは危険です。

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非現実的な高配当を謳う運用会社にトレードを任せたところ、配当どころか元金が戻らないという被害も。世界的に有名な投資家でも年利20%がいいところです。現実的な利益の基準をきちんと理解していれば、嘘を見抜けるはず。これまでの経験を通して思うのは、自分自身が知識をつけなくてはいけないということ。本を読むのが苦手な人は、セミナーに参加するのもいい。どんなセミナーにも何らかの学びはあります。ただ、なかにはネットワークビジネスの勧誘や商品の契約を迫るようなセミナーも。その場で判断せず必ず持ち帰りましょう。

投資家の先輩の「信じるな、疑うな、確かめろ」という言葉がいつも頭にあります。「怪しい」と思うのは、自分に理解力がないからかも。私が人に投資話を紹介された時は、まずフラットに聞いてから細かく質問します。それに対してごまかさず答えるか、デメリットも話すか、投資判断を急かさないか、も含めて検討するようにしています。

投資に正解はないけれど、おいしい話はそうそうありません。騙されるのはピュアな人、考えずに楽をしようとする人。現状に不満がある人も狙われやすい。知識こそ財産。正しい知識を身に付けていきましょう。次回からは、誌上で資産相談をスタートします。

投資詐欺の手口を知る。

投資詐欺の多くは「ポンジ・スキーム」と呼ばれる手口。名前の由来は米国人の詐欺師、チャールズ・ポンジ。「投資の運用益を配当金として還元」と偽って出資を募り、運用していると見せかけ、新しい出資者からの出資金を配当金として支払いながらお金を騙し取り続ける手法。非現実的な配当金や投資判断を急かされるなどは要注意。仮想通貨の場合、国内で暗号資産と法定通貨との交換サービスを行うには暗号資産交換業の登録が必要なので、金融庁・財務局に登録済みの事業者か確認を!

※フィガロジャポン本誌連載にて、資産運用の相談者を募集中! 詳しくはこちら

*「フィガロジャポン」2022年6月号より抜粋

text: Yoko Sueyoshi

個人投資家/資産運用アドバイザー。1990年、パリ生まれ。現地高校卒業後、お茶の水女子大学に進学し、東京に移住。日系商社に勤めた後、通訳、金融会社を経て、個人投資家に。

instagram:@lina_saint.germain

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