フィガロジャポン2021年7月号から「美しい投資術」を連載する、個人投資家/資産運用アドバイザーの廣田里那さん。
今回の相談者は、フリーランスで月収が0~100万円と幅があるという46歳の独身女性。定年はない仕事とはいえ、将来のためにどのように資産がつくれるのか、というご相談です。
今月の投資相談
収入の増減が激しいフリーランスは、将来にどう備える?
HKさん(46歳・独身) フリーランス
年収 約500~1,000万円(手取り)
貯金 約500万円
フリーランスとして活動しているため、収入が安定しないことに大きな不安を抱えています。定年の概念がないので、働けるまで働きたいですが、将来どれくらいの資産があれば安心なのか曖昧なままです。現在、ロボット投資や投資先をAIが選定する投資信託などを活用して、約1,000万円を運用していますが、この方法が最適かどうか疑問を感じています。また、賃貸住まいであることから、高齢になった際に住居を確保することが難しくなるのではないかと心配です。先のことを考えることが苦手なのですが、高齢期を迎えた時、生活に困らないためには資産をどのように、どれくらい増やすべきか、一度真剣に考えたいです。
1カ月の収支
収入 ▶ 約¥400,000~800,000(平均)
支出 ▶ 約¥222,200
- ▼固定費
約¥107,200 - 居住費(賃貸)
¥85,000 - 光熱費
¥12,000 - 通信費
¥7,000 - 医療保険
¥3,200 - 自動車
¥60,000 - ▼変動費
約¥115,000 - 食費
¥35,000 - 交際費
¥5,000 - 交通費
¥20,000 - 趣味・娯楽
¥5,000 - 日用品
¥3,000 - 衣服・美容
¥30,000 - 健康・医療
¥1,000 - 教養・教育
¥11,000 - ▼貯蓄
¥0 - ▼運用
- ロボット投資(NISAつみたて投資枠)
¥100,000/月
老後資金の計画において、具体的な資産形成計画を立てることは重要です。たとえば、現在の生活費が月22万円で、65歳から90歳まで同じ生活水準を維持する場合、必要な総額は約6,600万円となります。年金の平均受給額が国民年金で約5.5万円、厚生年金で約14.5万円とされており、この差を考慮すると、自分で用意すべき老後資金は約5,100万円となります。
それに伴い、現在の資産運用に関しても見直しが必要かもしれません。ロボアドバイザーは手数料が高い点がネック。手数料の低い証券会社で、類似の資産運用をした場合、手数料の差だけで数百万円以上の違いが生じるため、ご自身で積立することが賢明。現在の資産を元に積立、運用が続けられれば、老後資金は確保できそうです。
住居の確保に関しては、高齢時のリスクを軽減するため、賃貸から持ち家への移行や高齢者向けの住宅確保策についての情報収集が重要です。フリーランスでもフラット35などの住宅ローンを利用できる可能性はあるので、住宅購入を検討する場合、一度金融機関へ相談することを推奨します。老後の住居については、60歳を目安に真剣に探し始めるのが良いでしょう。
iDeCoや節税対策についても考慮する必要があります。iDeCoは税制優遇がありますが、60歳まで引き出せないため、まずは流動性の高い新NISAでの運用を優先することが賢明です。節税については、専門の税理士と相談し、効果的な方法を見つけてみてください。
ロボット投資とは、ロボアドバイザーという技術を使って、AIやアルゴリズムが自動で資産運用を行う方法。投資家のリスク許容度や目標に応じて、最適なポートフォリオを作成し、自動で資産の調整(リバランス)も行う。スマホやパソコンから簡単に始められる、少額からでも投資できるという点で、初心者でも利用しやすい。また、さまざまな資産に分散投資することで、リスクを抑えながらリターンを目指す。ただし、すべての投資にはリスクがあるため、自分に合った方法を選ぶことが重要。
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text: Yoko Sueyoshi
個人投資家/資産運用アドバイザー。1990年、パリ生まれ。現地高校卒業後、お茶の水女子大学に進学し、東京に移住。日系商社に勤めた後、通訳、金融会社を経て、個人投資家に。
instagram:@lina_saint.germain