【犬山紙子】やっと手に入れた元気
犬山紙子がいま思うこと 2019.07.03
文・犬山紙子
7月、超元気になりました。
それはもうやっと手に入れた元気でして、5月6月と私ははちゃめちゃに元気が無かったんですね。その頃書いた原稿の書き出し見てみると……
・今私は生きるのがちょっと苦しい。自らご飯をどこかに食べに行こうとも思わないしインスタグラムだって更新する気力もない、あんなに熱心だったのに。今日だってもろもろ薬代に六千円もかかるとわかって落ち込んで、あまり酒は飲まない方が良いとわかっていても飲んでしまった。
だったり
・5月病の犬山です。もうほんと元気もないしやる気もないし欲もない……あんなに欲望の塊だったのに、というかこの連載のタイトルを美欲おもむくままにするほどまでに煩悩と欲望まみれの人間だったのに、人間やはり元気がなくなると欲がなくなりますねえ。欲望とは生きる力そのまんまですね。
だったり
・「死にて〜〜」と呟きたくなることがある。でも「ダメですよ」というよりしんどくなること言われたり、心優しい人たちに無駄に心配かけるし、「あいつ構って欲しいだけだよな」みたいな嘲笑も受けるから言えません。なので代わりに「バブーッ」と叫ぶことにしています。私の「死にてー」って「責任とか全部放棄して誰かに甘えたい」って気持ちなんですかね。実際死にたいわけでもないですし、赤ちゃんプレイにハマるおじさんの気持ちがわかってしまいました。
だったりする……。
© Aliaksandr Liulkovich/Blend images/amanaimages
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日記にも
13日 鬱々としてしまうので、オタク趣味に逃げる。鬱々としていても娘には優しくね。辛くなってきたら夫に頼る。
14日 友人が「紙子大好きだよ」って連絡をくれたり、フォロワーさんも励ましてくれた。そうやって誰かに助けてもらっている、誰かに助けを求めようと思う限り私は大丈夫なんだと思う。生きるのがめんどくさい。生きるけど。
15日 愛する推しの誕生日だというのに心は浮かない。でも多分オタク趣味という逃避先がなかったらもっともっと辛かったんだと思う。ほんとオタク趣味って信仰のようなものだなと思う。
17日 また番組で虐待のニュースに向き合う。性被害の話はことさら辛い。DV被害について以前取材をし、自分なりにコメントをしたつもりだが届いただろうか。想像だけでDV被害者ってこういうものと断じてしまってはDV被害者が逃げにくくなるし、そうなるとその子供を虐待から助けられない。人の命に直結する話だ。とても辛い。ツイッターでもその旨を鬱陶しいほどに書く。それぐらいやらないと。
20日 明らかに自分の状態が良くないので心療内科へ。以前も異常なネットでの人格否定を受けた時不安症になり、その時すぐ心療内科に行って2週間ほどでしゅっと症状が良くなった経験があったので躊躇なし。頼るは現代医学、過去の人が積み上げた叡智です。先生に話を聞いてもらいちょっと楽に。
などとある。
てなわけで5、6月はあまり状態が良くなく、生きるのが非常に面倒だったんですね。でも私は何かとすぐ病院に行く性質ですので、超軽い症状でシュッと心療内科に行って、きっちり先生の言いつけを守り(いや……飲酒は正直した)、早期対処のおかげで今普通に生きてるのが楽しいまでになりました。ホッ。早期治療、大事ですねえ。あと逃避先……私はオタク趣味です、私が一切介入しない妄想の海です。
『ずぼら瞑想』川野泰周著 幻冬舎刊 ¥1,188
そして本。お世話になったのは『ずぼら瞑想』です。様々な悩みは脳の疲れから起こるということを、精神科・心療内科医かつ住職の川野泰周さんがわかりやすく解説。
日々私たちの頭はマルチタスク。私も仕事、育児、対人、SNS、趣味とフルに脳を働かせて休む暇もない、睡眠じゃ脳の疲れが取りきれない、そんな状況だったようです。
で、瞑想ってのはそんなマルチタスクの脳を何か一つに集中させてモノタスクにして休ませるってことなんですね。SNSでの情報もあまりにも多すぎたのでスリム化しました。(ツイッターの通知をほぼ切ったので見る頻度が減った)
そんなわけでこれからは脳を休めるをちょこちょこやりながらまた楽しくやろー!と思っているのでした。何かに集中できることは喜びなんだなって、それも実感しましたしね。
texte:KAMIKO INUYAMA

イラストレーター、エッセイスト。1981年、大阪府生まれ。2011年『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス刊)にてデビュー。
テレビのコメンテーターとしても活躍する。2017年に1月に長女を出産。