丸太町通と河原町通が交差する辺りは、街の中心から少し外れ、御所の東側に位置する落ち着いたエリア。細い路地にセレクトショップやカフェなど、高感度なお店が点在し、散策にもオススメです。この界隈でもイチオシのセンスのよいギャラリー、本屋、カフェをご紹介。感性を磨く街歩きへいざ出発!
日日
ドイツ人のエルマー・ヴァインマイヤーさんが約20年前に京都で始めた予約制ギャラリーが、東京・富ヶ谷を経て、京都で再スタートしたのは2015年11月のこと。新しい「日日」を受け継ぐのは、エルマーさんの奥様で、フードディレクターとしても活躍する奥村文絵さん。風情ある日本家屋の畳の間で、職人の手仕事による美しい品々がオーラを放っている。並ぶのは暮らしの道具を中心に、ジュエリーや古裂など。「静かな道具も得意だけれど、強いインスピレーションを受けるものも置いていきたい。緩急をつけて、ふらっと足が向く場所になれば」と奥村さん。日々の暮らしや豊かさについて見直したくなる空間だ。
御所東の閑静な住宅街に佇む一軒屋を改装して、ギャラリーとティールームに。もとは日本画家の西村五雲が約100年前に建てた自宅だったという。
約20人の作家を取り扱い、年7〜8回は企画展を開催。展示はほんの一部で、ストックには種類や量が豊富に揃う。探しているものがあれば、気軽に相談を。
オーナーの奥村文絵さん。食を媒体にブランディングや企画を提案する「foodelco」を主宰するフードディレクターとしても活躍。奥村さんが手がけた無農薬栽培の煎茶やほうじ茶、オーガニックのカカオもここで購入可能。
丸太の仕入れから漆の仕上げまですべて自身の手で手がける仁城義勝の器。手になじむ温もりのある造形と、木目が透ける独特の風合いで人気が高い。現在開催中の「仁城義勝 木の器」展は3/19(月)まで。入子椀¥27,540
1924年バウハウスの影響下で設立されたドイツで最も古い工房のひとつ、マルガレーテンヘーエ工房。シンプルで柔らかなフォルムと深みのある色合いが魅力。ティーポット¥29,000、プレート大¥10,000、プレート小¥6,000
ドイツ人のジュエリー作家、カーリン・コルスター・ケリの指輪は、石が主役。石それぞれの輝きやパワーを身につけるようなデザインが特徴。
色も柄も見事な更紗などの古裂は、約200〜300年前のものが揃う。「袋物を仕立てたり、額に入れてそのまま飾るのも素敵です」と奥村さん。
玄関の左手には栃の木のカウンターに6席を設けたティールーム「冬夏」が。ギャラリーで扱う器で、オーガニックの煎茶やカカオがいただける。
日日/冬夏
nichinichi / toka
京都市上京区信富町298
tel:075-254-7533
営)10時〜18時
休)火
カード:Amex、Diners、JCB、Master、VISA
www.nichinichi.com
〉〉あの名書店員が手がける“街の本屋さん”
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誠光社
恵文社一乗寺店の店長を経て、堀部篤史さんが開いた路地裏の小さな書店は、版元との直接取引をはじめ、自費出版やイベント企画など、個人店だからできる強みを生かした新スタイルの“街の本屋さん”。むき出しの木材で作られた本棚には、堀部さんが一冊一冊選んだ本たちが緩やかにジャンル分けされて並んでいる。好奇心を刺激し、思わず手に取りたくなる本ばかりだ。「実用書は扱わず、コーヒーやお酒のように味わいを楽しむ嗜好品的なものが中心。選ぶ視点としては主観より、どんな本でどんな人に好まれているかなどその面白さを知るようにしています」。世界を広げてくれる出合いを求めて、ゆっくり訪れたい。
間口は狭く、奥に伸びる京都らしい間取りの一軒家。開店から約2年半が経ち、辺りの風景に馴染んでいる。周辺には堀部さんも通う「かもがわカフェ」「アイタルガボン」などがあり、誠光社で購入した本をそこでじっくり読むことも。
店内中央に平置きの棚と、その両側に背の高い本棚が並ぶ。「店頭になくても、オンラインショップやインスタグラムで紹介している本など、奥から出せるものもあるので、探している本があれば声をかけてください」と堀部さん。
洋書にも力を入れているとのことで、装丁やデザインもおしゃれな本がずらり。
自社出版の『珈琲の建設』(オオヤミノル著)は1000部がすぐ完売し、増刷。他に『御所東考現学』やCD『第3区間ピアノ』(yatchi演奏)などもリリース。
堀部さんがFIGARO.jpのために選んでくれた2冊。工芸品のような美しい本を作る南インドの小さな出版社タラブックスの『TRAVELS THROUGH SOUTH INDIAN KITCHENS』は、建築家・デザイナーの齋藤名穂が南インドの家庭の台所を取材。フランスの現代アーティスト、ソフィ・カルの作品を一挙収録した『SOPHIE CALLE AINSI DE SUITE』は、凝った造本も見応えたっぷり。
CDやレコード、アート作品などが並ぶコーナーも。
店内奥の展示スペースでは、月2回ペースで企画展を開催。縁のアーティストやクリエイターを招いたトークイベントやライブもここで行われる。
恵文社一乗寺店を世界的に有名な人気書店に成長させた堀部さん。前職よりお客と話すことが増えたそう。奥のカウンターではコーヒーやビールも注文可能。
誠光社
Seikosha
京都市上京区中町通丸太町上ル俵屋町437
tel:075-708-8340
営)10時〜20時
休)12/31〜1/3
カード:Amex、Diners、JCB、Master、VISA
www.seikosha-books.com
〉〉韓国の美味やアンティークに出合えるカフェ。
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寺町李青
丸太町通と寺町通の交差点に2017年10月にオープンしたこちらは、出町柳にある韓国喫茶「李青」の2号店。韓国の家具や調度品に混じって、和や北欧のテイストを配した空間は、オーナーのチョン・ヨンヒさんの美意識とセンスに満ちて、まるでチョンさんの自宅に招かれたような心地よさ。出町柳の名物がビビンパなのに対し、ここでは韓国茶やスイーツなど喫茶メニューがメイン。定番の漢方茶や韓国の僧が常飲していた禅食シェイクなど、どれも滋味にあふれ、心も身体も元気になるようなものばかりだ。チョンさんが選んだ韓国の骨董品や工芸品が並ぶコーナーも充実していて、目に舌に贅沢な時間を過ごせる。
オープンしたばかりながら、ずっと前からあるような落ち着いた佇まい。骨董店や工芸の店が連なる寺町通の端であり、御所の目の前というロケーション。
店内にはチョンさんが韓国文化の中でも特に愛する李朝時代(1392〜1910)のものが多い。クラシック音楽が流れる静かな空間でゆったりお茶を楽しめる。
早くも看板メニューとなりつつある「黒毛和牛のカルビサンド」¥1,000。柔らかな和牛ロースとほどよい酸味と辛味のキムチが相性抜群。たっぷり添えられた無農薬野菜のサラダもうれしい。韓国の伝統茶「五味子(オミジャ)茶」は、甘、酸、塩、辛、苦の5つの味をもち、美容や健康によいそう。¥700
奥のカウンター内、深緑のタイルの前がチョンさんの定位置。「実はここは親友のお父様が建てた建物。改装時に壁の下からこのタイルが出てきて。まったりした風合いや鎧貼りなどぜひ残したかった」と言う。建物も慈しまれ、嬉しそう。
カウンター前には、神保町にあった名店「茶房 李白」で使われていた家具が。
チョンさんが台湾の茶芸館「紫藤廬(ツートンルー)で出合った「喫茶」の書は、風ように軽やかな文字がお気に入り。季節の花のあしらいも参考に。
物販のコーナーには韓国の骨董品や工芸品のほか、金貞玉(きんじょんおく)や藤塚光男など、李朝に影響を受けた日韓の現代作家の器などが並ぶ。
バスケットや花器など、インテリアにすぐ取り入れられるアイテムがずらり。
寺町李青
Teramachi Risei
京都市中京区下御霊前町633
tel:075-585-5085
営)12時~18時
休)火
カード:Amex、Diners、JCB、Master、VISA(¥5,000〜)
photos:SADAHO NAITO, réalisation:NATSUKO KONAGAYA