秋の京都でいただく、口福を呼ぶ栗の和菓子。

京都上ル下ル 2021.10.17

爽風が心地よく、木々が少しずつ色づき始めるこの季節。味覚の秋でいうならば、楽しみなのが栗のお菓子。京都には和から洋までバラエティ豊かに揃うけれど、これだけは絶対外せない!という栗の和菓子を紹介。一度味わうと来年が待ち遠しくなる、そんな逸品揃いです。

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2個分ほどの丹波栗がごろごろ入って、満足感たっぷりの栗餅。一度できたてをすぐほおばってみてほしい。やわらかく伸びがよい餅のおいしさに感動するはず。各¥270

丹波栗たっぷりの栗餅は、電話予約で行列回避!

出町ふたば

行列が絶えない出町商店街の人気店、出町ふたば。1899年の創業以来、変わらぬ製法で作り続けられる豆餅が看板商品。毎秋、その行列に拍車をかけるのが、9月から登場する栗餅だ。豆餅と同じ、最高級ブランドの滋賀羽二重糯米を使った餅と十勝産小豆を使ったこしあんに、丹波の新栗をごろごろっと加えたもの。ほんのり塩気を効かせたやわらかくきめ細かな餅、甘さ控えめの上品なこしあん、そして存在感たっぷりの栗のほくっとした甘み。すべてのバランスが絶妙で、一口ごとに口福をかみしめる。店の奥の工房では熟練の職人たちが糯米を蒸したり、つきたての餅にあんを包んだりと立ち働き、常に作りたてが店頭に並ぶのもおいしさの秘密。早めに電話で予約をすれば、並ばずに購入できるからぜひお試しを!

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栗餅には詰める前に香ばしいきな粉がたっぷりふられる。

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店の奥で職人が手際よくつきたての餅にあんを詰めていく。常にできたてが店頭に並ぶのもおいしさの秘密。

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ショーケースの内側では数人の女性スタッフがてきぱきと客の注文をさばいていくが、ピーク時には行列は道路の向こう側まで伸び、1時間弱待つのことも。通常、予約は前日までの受付となるが、繁忙期には早めに締め切られることもあるので、余裕をもった予約がオススメ。予約時には種類と個数、ピックアップの時間を伝えて。

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ショーケースには定番の豆餅や福豆大福、おはぎのほか、秋には栗水無月、栗赤飯などが並ぶ。

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出町ふたば
京都府京都市上京区出町通今出川上ル青龍町236
tel:075-231-1658
営)8:30〜17:30
休)火、第4水(祝日の場合は翌日)

 

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茶巾絞りが愛らしい小ぶりの栗おはぎ。栗の豊かな味わいにはっとする。6個入¥1,650

栗の風味豊かな、甘さ控えめの栗おはぎ

御菓子処 嵯峨嘉

季節ごとの和菓子がショーケースを彩る、地元で愛される和菓子店。代表銘菓は、こしあんを包んだ道明寺を赤紫蘇の葉でくるんだしそ餅。9月下旬ごろから店頭に並ぶ栗おはぎは、愛媛の銀寄栗を使った栗あんで道明寺をくるみ、茶巾絞りにしたもの。栗あんは、北海道産小豆をつかった自家製あんに、蒸したてほぐした栗を合わせて作っている。「あんと栗を一緒に炊かないのは、栗の風味が最も引き立つように。甘さも、栗の風味を感じながら、なめらかな舌触りになるギリギリのところで調整しています」と店主の島田嘉寛さん。先代から受け継いだレシピに試行錯誤を加えて完成した栗おはぎは、ほっくりした栗の風味と控えめな甘さに、ついもうひとつと手が伸びてしまうおいしさだ。

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自家製あんと蒸した銀寄栗を合わせた栗あんで道明寺を包んだ栗おはぎ。道明寺とは、糯米を蒸して乾燥して粗挽きしたものを、再度蒸したもので、つぶつぶの食感と粘り気が特徴。しっとりした栗あんと好相性。1個¥250

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創業は1970年。場所はJR嵯峨嵐山駅から歩いて10分ほど。現在、暖簾を守るのは2代目の島田嘉寛さん。生菓子から日持ちのするものまで多彩なお菓子が並ぶ。

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名物のしそ餅は、紫蘇の酸味と塩気にこしあんの甘さが絶妙な一品。手土産やお茶菓子として重宝されている。ほかに、季節のフルーツを使った大福なども人気。

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御菓子処 嵯峨嘉
京都府京都市右京区嵯峨広沢御所の内町35-15
tel:075-872-5218
営)8:00〜19:00
休)水

 

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材料は、小豆、砂糖、栗、小麦粉、馬鈴薯澱粉といたってシンプル。どこを切ってもごろっとした栗が出てくるのがうれしい。日持ちは3日と短いが、ぺろりと食べられるのでご心配なく!

路地奥に佇む名店の、むっちりやわらかな栗蒸し羊羹。

甘泉堂

祇園北側の細い路地にひっそり佇む、1884年創業の老舗和菓子店。五種のあんを詰めた「五しき最中」、懐中汁粉「四君子」など、数は少ないながら、丁寧に手作りされた和菓子がガラスのショーケースに並ぶ。春夏の水羊羹、秋冬の栗蒸し羊羹が2大名物で、ともにすっきりと上品なあんのおいしさが評判だ。「ベースとなるこしあんは一緒で、北海道の小豆とザラメを炊いています。昔より甘さは控えめになっていると思います」と6代目を受け継ぐ山本雅之さん。栗蒸し羊羹は、そのこしあんと甘めに炊いた栗のバランスがよく、むっちりとした食感が特徴。竹皮にくるんで蒸し上げるため、竹皮の香りも一緒に楽しめる。お取り寄せも可能だから、自宅にいながら、京都の秋を堪能できるのもうれしい。

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薄紙をはがすと趣きのある掛紙が現れる。その下は竹皮でくるんだ栗蒸し羊羹。プラスチックゼロなのもうれしい。お取り寄せは気温の高い時期はできないので要確認。

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路地に面したショーケースには、ひとつの最中に4種のあんを詰めた「とりどり最中」、5色の皮にこしあん、ゆずあん、味噌あんなど5種類のあんが入った「五しき最中」などが並ぶ。4〜9月のみずみずしい水羊羹もぜひお試しを。

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賑やかな四条通から見落としそうな細い路地を入ったところにお店がある。看板を目印に路地を進んで。

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甘泉堂
京都府京都市東山区祇園町北側344-6
tel:075-561-2133
営)10:30〜19:00
休)日、ほか不定休あり

 

photography:Sadaho Naito text: Natsuko Konagaya

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