編集者たちが毎月逸品を語る連載。今月は、バーバリーのトレンチコートについて。
限定78点のヴィンテージトレンチコート¥215,600/バーバリー(バーバリー・ジャパン)
創業者のトーマス・バーバリーは「衣服は英国の天候から人々を守るべきものである」と考えていた。その想いは、通気性に優れ、悪天候にも強く丈夫な布、ギャバジンを考案し、トレンチコートという名品を作り出した。現代までさまざまなスタイルで登場するトレンチコートだが、丈夫な布地とクラフトマンシップの賜物である縫製により、永く愛用する人が多く、その美しい経年変化は魅力的だ。
知人の女性が纏うヴィンテージな風合いが目を惹くトレンチコートは、まさにバーバリーだった。聞けば、お祖父様から譲り受けたアイテムだという。いまでもしっかりした生地感は健在で、だけれど長年の着用感がどこか優しいムードを漂わせている。彼女には少し大きいサイズ感でラグランスリーブのショルダーの落ち具合も絶妙だ。私にもそんなトレンチコートが欲しい、そう思い始めていた矢先に朗報が届いた!
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1960〜90年代に作られたトレンチコートを修復して蘇らせ、ひとつずつナンバリングされた限定78点を販売するバーバリーのトレンチコートにフォーカスしたポップアップが、2月から開催されるのだ。店頭ではほかにもオーガニックコットン糸を採用しアップデイトされたヘリテージトレンチコートを中心に、タイムレスなアイテムが揃う。さらに、トレンチコートの歴史を支える職人が来日し、エクスクルーシブなパーソナライゼーションも。知人のコートの裏地には、かつてお祖父様が入れた名前が刺繍されている。コートとともに歩んだ歴史を感じるディテールもまた愛おしい。ポップアップで運命の1着に出合えたら、名前を入れて自分だけの歴史を刻みたい。(編集D)
180針以上ものステッチを手縫いすることで襟をなめらかにカーブさせ、ネックラインに完璧にフィットする仕上がりを実現。仕立て職人は1年がかりでトレンチコートの襟の縫い付けを習得する。
ボタンもひとつずつ手縫いを施し、美しい仕上がりが叶う。
現在も英国製にこだわり、トレンチコートはイギリス北部に位置するキャッスルフォードの自社工場にて製造されている。
ザ バーバリー トレンチ ポップアップ
伊勢丹新宿店 本館2階=イセタン ザ・スペース
2/8(水)〜20(月)
*「フィガロジャポン」2023年3月号より抜粋