MUSIC SKETCHのプレイリストで日々の生活に潤いを♪②
Music Sketch 2018.01.26
2017年11月20日からSpotifyのmadameFIGARO.jpのチャンネル内でスタートした「MUSIC SKETCH」のプレイリストですが、聴いていただけていますでしょうか?
Spotifyのハブでは「トレンド」の箇所をクリックすると、その中に入っています。検索をかけてダイレクトに入っていただいても構いません。聴き方がわからない場合、まずパソコンやスマートフォンにアプリをダウンロードし、そこからアカウントを作成してもらえれば、プレミアム会員にならなくても聴くことができます。ただ、無料会員だと途中でCMスポットが入ったり、試聴の時間に制限があったり、規制がいくつかあるようです。
「MUSIC SKETCH」は、毎週金曜日を中心にアップされる新曲をチェックしながら、隔週金曜日にプレイリストを更新しています。“いま話題の音楽からアップカミングなアーティストまで押さえた、おしゃれな気分になれるプレイリスト”という名目ですが、メジャーなミュージシャンの楽曲を含みつつ、流れの中で聴きやすいオススメの楽曲も挟んでいます。ただ、今後は前半の週はアップリフティングの踊れるナンバーを中心に、後半の週はしっとり聴ける楽曲をメインに構成していこうと考えているところです。少し特徴があった方が聴きやすいですよね。
■インパクトを残す豪華コラボ曲が増加
ストリーミングが世界の音楽シーンを席巻するにつれて、アルバムのリリース前にミュージックヴィデオやシングルを発表するだけではなく、リミックスを随時追加で発表するなどして、常にそのアーティスト周辺をバズらせておく手法が増えています。また、デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリスのような人気DJがEDMムーヴメント時に旬のシンガーを次々起用して大ヒットを連発して以降、アーティスト同士の交流から生まれた意表を突くコラボは増加中。かつては2004年のリンキン・パークとジェイ・Zに代表されるマッシュ・アップ、共演ではエミネムとダイド、カニエ・ウェストとボン・イヴェール、グラミー賞に沸いたダフト・パンクとナイル・ロジャースなどありますが、今はこれまでのプレイリストにもあるように、豪華な組み合わせが当たり前のように並んでいます。コラボのヒット曲をきっかけに新たにアーティストを知り、ライヴ会場に足を運んで生で音楽を体感してもらえたら嬉しいです。
Didrick 「Ready To Fly (feat. Adam Young)」(音源のみ) アダム・ヤングとはアウル・シティーの本名
ビヨンセはアルバム『レモネード』(2016年)でジャック・ホワイトやジェイムス・ブレイクなど異ジャンルと思われるアーティストたちとコラボしているものの、このアルバムのストリーミングは、ビヨンセの夫ジェイ・Zが運営しビヨンセ自身も共同オーナーとして名を連ねているストリーミング・サービス「TIDAL」の限定にしています。SpotifyやApple Musicには提供していません(購入は可能)。ただ、2015年にスタートした「TIDAL」は現在苦戦しているとの噂があり、音楽がネット上に溢れているだけに、今後ストリーミング業界は淘汰されていく気がします。その一方でビヨンセは、エド・シーランやエミネムの楽曲に参加するなど交流は広がるばかりで、それらはネット上で普通に聴くことができます。
Eminem 「Walk On Water」ビヨンセが楽曲に参加している
■夏に向けてラテンの波がさらに押し寄せそう
また、ピクサーの最新アニメーション映画『リメンバー・ミー』(日本公開3月16日)が “ミュージシャンになりたい男の子が主人公の、メキシコが舞台の話”であるように、アメリカを中心にラテン熱が高まっていて、プエルトリコ出身のルイス・フォンシや、メキシコとキューバ・ハバナをルーツとするカミラ・カベロなどラテン系アーティストが世界各国のチャートを賑わせています。IMFの2016年の調査によればラテンアメリカ系の人口は世界の8.4%にあたるそうですが、ヒスパニック系や南米以外の人たちにも愛聴されているのは、ラテン音楽が持つユニークなリズムや明るい曲調に加え、哀愁を帯びた短調の旋律や柔らかな語感が心に響きやすいからでしょうか。
Camila Cabello 「Havana ft. Young Thug」*これは英語ヴァージョン。ファレル・ウィリアムスが曲作りとコーラスに参加
カミラ・カベロは大人気ガールズ・グループ、フィフス・ハーモニー出身のシンガー・ソングライターで、現在20歳。今年1月に初ソロ・アルバム『Camila』を発売し、全米ビルボード・アルバムチャート(2018年1月27日付)で初登場第1位に輝いたばかり。シングル「HAVANA feat.Young Thug」も同時にシングルチャート第1位になっています。フックの効いたキャッチーな曲調に、スパニッシュ訛りの英語もウケている様子。日本でもかつて昭和30年代からトリオ・ロス・パンチョスや坂本スミ子、森山加代子、ザ・ピーナッツなどラテン歌謡ブームがあり、マイナー調の音階は日本のメロディーにも馴染みやすいようです。今後日本でもカヴァーなど、ひと波ありそうですね。
■隔週で更新するプレイリスト、前半は踊れる系、後半はしっとり系に
さて、今年最初の201801 vol.1は、新春を飾る気持ちのアガるナンバーを軸にしました。イギリスをベースに活躍する気鋭のシンガー、ジョーンズの「Something Bout Our Love(TIEKS Extended MIX)」、同じくTIEKSによるチャカ・カーンとポップカーン(ジャマイカ出身のダンス・ホール系シンガー)をフィーチュアした「Say a Player」(Steve Smart Remix)。TIEKS(ヴァリアス・アーティスツという名前でも活動)は、14歳から楽曲プロデュースをはじめ、特に80’s、90’sのダンス・クラシックにハウスやポップ・エレクトロニックをミックスするのが得意らしく、このあたりのダンス・ナンバーは彼の真骨頂です。ブルーノ・マーズfeat.カーディ・Bによる「Finesse」(Remix)に続き、偶然iPhone XのCMに使われていましたが、ビッグ・ボーイの「ALL NIGHT」への流れも聴きやすいと思います。Pacesの「Savage」(Remixes)のパーカッションの入り方もハマると気持ちいいと思います。フォスター・ザ・ピープルの「Pay The Man」(Remix)は、私はどうしてもペット・ショップ・ボーイズを想起してしまいますね。最後はアメリカ出身のシンガー・ソングライター、イアン・アクセルが2011年に発表した「This Is The New Year」を、グリーのキャストの歌でセレクトしました。
201801 vol.2は、その前の回の反響が良かったので、最初はちょっと攻めたプレイリストにしたのですが、直後に聴きやすそうな流れに組み直しました。なので全体に緩やかな感じです。1曲目の「Désolé」はフランス語で“ごめんなさい”という意味。最初に選曲した時はなぜか悲しい感じの題名の曲が多くて、冬という季節がそうさせるのかと思ってしまいました。このプレイリストの中でいま一番気に入っているのはCamelPhatの「Cola」。このリズミカルなメロディとビートに合う軽く弾むような歌詞も良く、ついコカコーラを飲みたくなるほど。調べてみたら、この曲は来週発表される第60回グラミー賞のダンス・レコーディング部門にボノボ、ゴリラズ、LCDサウンドシステム、Odeszaと共にノミネートされていました。このプレイリストも流れに合わせてリミックスを多く入れていますし、後半には日本や韓国のアーティストも入れています。ジャンルレス、ボーダーレスに音楽を楽しんでいただければ幸いです。
アーカイヴはこちらに入っています。
*To Be Continued

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
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