『リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展』開催中!
Music Sketch 2024.11.01
今年8月に、衝撃の再結成を発表した英国史上最強のロックバンド、オアシス。2025年7月のイギリス公演を皮切りに16年ぶりとなるワールド・ツアーを開催することとなり、日本のファンも日本公演の発表を待つばかりだ。その期待に応えるべく、嬉しいことにオアシスのデビュー30周年を記念した『リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展』が11月1日(金)〜23日(日)の期間、六本木ミュージアム(東京都港区)で開催されることとなった。早速行ってきたが、ノエル・ギャラガーの歌詞ノートやメンバーが使用していた楽器をはじめ、貴重な200点を超えるアイテムが展示され、さらにフォトスポットが用意されていたり、オリジナルグッズも豊富とあり、ファンはたまらなくうれしい内容になっている。
また、1日早く10月31日にオープンしたNew Gallery(東京都千代田区神保町)でのジル・ファーマノフスキーと河村庸輔による企画展『Oasis Origin+Reconstruction』へも行ってきたが、すでにオープン直後もファンが行列している盛況ぶりだった。
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まず『リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展』では、楽曲再生アプリ(S.Guide)をダウンロードすれば、展示に該当している楽曲を聴きながら見てまわれるようになっている。そのため、スマートフォン用イヤホンの持参をオススメ。これについては下記の展覧会公式サイト、もしくは受付で説明してもらえる。
第1章:オアシスのヒストリーを追う
イントロダクションの年表からスタートし、デビューから2009年の活動休止までに発表されたアルバム7枚を紹介している。展示では、1枚目のアルバム『オアシス(原題:Definitely Maybe)』に収録された楽曲の歌詞に出てくるノエル&リアム・ギャラガー兄弟の馴染みの地元マンチェスターのレコード店名や、2枚目『モーニング・グローリー』のジャケットが撮影されたストリート名も掲げられ、英国気分を味わうことができる。また、オアシス歴代のロゴも展示していて、いわゆるアーティスト写真よりも、オアシスがバンドの象徴としていかにロゴにこだわってきたことがわかる。そして名誉あることに、30周年を記念したロゴの作成を任されたのは、コラージュアーティスト/グラフィックデザイナーの河村康輔で、バンドにとって初の日本人アーティストの起用となった。その実物も展示されている。
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第2章:バンド愛用の楽器や受賞トロフィーなどを展示
ここでは15年にも及ぶ活動で使われてきた楽器や受賞トロフィー、表紙を飾ってきた雑誌などを展示。それらの写真から、世界的バンドへと成長していくのに合わせて、彼らの顔つきが変化していく様子を見比べることができる。余談ながら、ギャラガー3兄弟の長男ポールの著書『オアシス ブラザーズ −長兄ポールが語るリアム&ノエル・ギャラガーの真実』(リットー・ミュージック、1997年)には、的確と思われる文言として「誰かライターの言葉を借りれば、"(オアシスにとって)ノエルはなくてはならない心臓、リアムは魂であり、精神そのもの"」と記してある。さらに「リアムは人の気を惹くことにかけては誰にも負けてなかったし、すごく欲張りだった」とも書いてある。「ノエルとリアムは強い愛憎関係にある」というのは周知の事実だが、そのことを意識しながら写真を見ると、さらに趣が増す。ちなみに対面で取材したことがあるのはノエルだけだが、とても丁寧で好印象だった(リアムはドタキャンが心配で、当時担当していたラジオ番組用のコメント録りのみ)。
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第3章:当時の実物ポスターを展示
アルバムやシングルの告知ポスターやツアー・ポスター、さらには当時のツアー日程表や、ツアー・パスやリストバンドなども展示。個人的にはロンドンまで観に行った1995年11月のアールズ・コート公演のポスターがなかったのは残念。とはいっても、イギリスへは学生時代から本当によくライヴを観に行っていたので、当時のチケットのデザインがそのままポスターになっているものなど、眺めているだけで興奮してしまう充実の展示になっている。自分はブリットポップ全盛期にはすでにいまの仕事をしていたので、フェスのラインナップを見ていても思い出されることが多く、会場で友人知人と雑談で盛り上がってしまった。もちろん初期のオアシスの名物担当A&R、故近藤"KONDI"宣幸氏の話も。
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第4章:歌詞にフォーカスし、オアシスの世界に没入
ここではオリジナル歌詞と、作詞家/音楽プロデューサーであるいしわたり淳治によって再構築された新たな対訳と合わせて紹介されている。イギリス北部の労働者階級出身のノエルが自分の内面を赤裸々に歌った歌詞は、時代を経てきた偉大な歌がそうであるようにさまざまな人の人生に当てはまり、それゆえ国境を超えて数多の人の心を掴み、さらに覚えやすいメロディに歌詞とあって、どこの会場でも大合唱になるのが当然のようにになっていった。ここで注目しておきたいのは、名曲のひとつ「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」(1995年)が2017年にマンチェスターで起こったテロ事件の追悼集会に集まった人々から自然に歌われて、大合唱になった時の記事も展示されている点。オアシスの曲に多くの人々が支えられていることを象徴する出来事で、再結成の遠因のひとつになったのではないか、と言われている。
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エピローグの部屋を出ると、オリジナルグッズのコーナーと再現部屋へと続く。フォトスポットでは、初期メンバーであるボーンヘッドの自宅リビングで撮影されたデビュー・アルバム『Definitely Maybe』のジャケット写真と同じセッティングが再現されるなど、記念写真を撮れるコーナーがふたつ用意されている。
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New Galleryは神保町駅A5出口から徒歩3分ほど。『Oasis Origin+Reconstruction』は写真家のジル・ファーマノフスキーが1994年から2009年にかけてオアシスを撮影したドキュメンタリー写真と、コラージュアーティスト/グラフィックデザイナーの河村康輔が再構築した写真やロゴ、アルバムジャケットのコラージュ作品が展示されている。なかでも河村の代表的な手法である、シュレッダーでカットした素材を手作業で貼り合わせるコラージュは、「イメージや時間が裁断されながら統一される独自の存在感を放つ」と言われ、必見だ。このほか、ジルとノエルがバンドの過去の語る映像や、河村のスタジオでの制作過程の一端を除くことのできる貴重な映像も放映している。こちらで販売しているグッズも素敵なので要チェックを。
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会期 2024年11月1日(金)~11月23日(土)
会場 六本木ミュージアム
開館時間 10:00〜18:00(最終入場17:30)
*11月1日(金)〜3日(日)のみ10:00〜20:00(最終入場19:30)
*小学生以下無料 チケットについては公式サイトを参照
主催 ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニー・ミュージックレーベルズ、ソニー・ミュージックパブリッシング
後援 ブリティッシュ・カウンシル 協賛:ADAM ET ROPÉ
展覧会公式サイト https://oasis-liveforever.jp/
会期 2024年10月31日(木)~11月24日(日)
会場 会場:New Gallery | 東京都千代田区神田神保町1-28-1 mirio神保町 1階
開館時間 12:00〜20:00
*入場無料
主催 New Gallery
展覧会公式サイト https://newgallery-tokyo.com/oasisoriginreconstruction
*To Be Continued
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音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
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