リリー・アレン ライヴ@渋谷O-EAST

カリフォルニア出身のケイティ・ペリーが華やかなステージを繰り広げたのに対し、ロンドンっ子のリリー・アレンは、仄かに人影が感じられるほどのライティングにジーンズ姿のラフなファッションで登場。とはいえ、背中がかなり大きく開いたトップスと、真っ赤なハイヒールを組み合わせていて、やっぱりオシャレ。オープニングは「エヴリワンズ・アット・イット」のハウス・リミックでスタートし、腕の動かし方など、さりげないダンスに早くも目が釘付けです。

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マーク・ロンソンのアルバムに参加していた時に歌っていた、カイザー・チーフスの「オー・マイ・ゴッド」や、「エヴリシングズ・ジャスト・ワンダフル」を歌い終えると、ステージで煙草をくゆらせて一服。その立ち姿も様になっていて、加えてビールもステージで飲むなど、いたってマイペース。肩の力の抜け具合が、押しの強いアメリカのエンターテインメントとの違いを感じさせます。新しいカップルを祝福するわね、と「フード・ハヴ・ノウン」を歌い、「ヒー・ワズント・ゼア」はジャジィなアレンジでラウンジ風に展開。ちょっとずつコメントを加えて観客との距離を縮めるようにしながら、コンサートは和やかな雰囲気で進みます。

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なかでも個人的には、弾むようなエレクトロ・ビートと言葉数の多いメロディが絡み合う「ゴー・バック・トゥ・ザ・スタート」がお気に入りでしたが、圧巻は白のトップスに着替えて登場したアンコール。大ヒット曲「スマイル」をドラムンベースで盛り上げると、会場は一気にナイトクラブの熱気を帯びていきます。バックミュージシャンが曲のつなぎで観客を煽っている間にリリーは一服し、続いて最新のヒット曲「ザ・フィアー」を歌うと、最後はファンの間で早くからチェックされていたブリトニー・スピアーズの「ウーマナイザー」を披露。リリーはブリトニーのファンであることを公言していますが、もうこのあたりはサプライズとあって、フロアは熱狂の坩堝と化していました。

日頃はメディアを喜ばす言動があったかと思うと、突然クールなスタンスを貫くなど、お騒がせなイメージのあるリリーでしたが、この日は音楽を心底彼女のスタイルで楽しんでいて、見ているこちらも楽しかったです。いつもはUKバンドに夢中で女性シンガーの歌を全く聴かない女友達も、「リリーって、可愛い!」と、大絶賛でした。

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この2月にインタヴューした時に、「ファッションにはその日の気分がそのまま表れるの。元気ですごく自信のある日はドレスとかで思いっきりオシャレするし、疲れてて"今日はもういいや"って日は、カジュアルになりがちよ」と話していたので、もしかしてこの日はちょっと疲れていたのかもしれませんが、とはいえ、彼女にとって踊りやすいファッションだったのかも。6月5日のこの日、私は気合いを入れて早めに会場に足を運んでいたこともあって、最高に楽しむことができました。

LIVE PHOTO: TEPPEI
*to be continued

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
X:@natsumiitoh

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