レディオヘッド@さいたまスーパーアリーナ

 とても更新が遅くなってしまいました。あまりに忙しかったのと、あまりに撮影しすぎて写真を整理する時間がなかったので。今回は10月3日,4日に観たレディオヘッド。次回に紹介するアーティストのライヴもそうですが、最近はインターネット上にアップされることを宣伝の一環としていているのか、コンサート会場での撮影にうるさくないアーティストが少しずつ出てきています。レディオヘッドの場合は明らかで、「プロフェッショナルな機材での撮影禁止」といった張り紙があるだけで(おそらくDVD化されて発売されることを恐れてか)、ライヴ中、観客は携帯電話やデジカメで撮影したり動画を録画したりと、もう自由そのものでした。

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 レディオヘッドは私の大好きなアーティストの1つで、毎回必ず早いタイミングで東京全公演のチケットを購入し、なるべく前の方で見るのですが、さいたまスーパーアリーナのアリーナーの観客には長身の男性が多く、さすがにシークレットブーツでも履かないと見えにくい状態。しかし、今回のライヴはどこから見てもステージは写真のように美しかったはずです。今回は都合で4公演中2公演しか見られなかったけれど、いつものようにすべての公演の曲目を変えて演奏してくれる彼らだけに、初日も2日目も大満足しました。

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 ステージ上には5台のバリライト(ムーヴィングライト)の他に、60本以上のネオン管が下げられ、その後ろにはLED(発光ダイオード)の横長のスクリーンが掲げられています。このスクリーンがとにかく美しく、最近のコンサートだったらU2が多用していることで有名ですが、レディオヘッドは他の映像は使わず、スクリーン上の個々5人の演奏の様子をダイナミックに映し出し、遠方からも楽しめるようにしていました。

 しかしそれ以上に凄いのは、このネオン管にもLEDが使われ、曲によっては雨が降るように見えたり、サイケデリックな色彩に変貌したり、とても芸術的な演出が展開されていたこと。ナイン・インチ・ナイルズのライヴの照明に似ている!と言っている人もいましたが(私は見ていないのでわからず)、とにかくこの色彩の美しさはスタンド席から見ても十分に堪能できたと思います。

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 東京公演4公演(さいたま公演含む)はずべてソールドアウトで、知り合いにはとにかくたくさん会うし(FIGARO編集部のKさん夫妻にもバッタリ!)、一緒に行ったレコード会社に勤める友人は「どうしてレディオヘッドだけこんなにお客さんが入るの?」と驚くほど。実際、私の周囲では初期の2枚目『ザ・ベンズ』(1995年)、3枚目『OKコンピューター』(1997年)が好きで観に来ている人がほとんどで、それゆえ20代で観に来ている若者はどのアルバムから魅了されたんだろう・・・?という話になりました。結局その日は、終演後に流れた店にもレディヘッド・ファンがいて、レディオヘッド談義に。

 セットリストでは2日目のほうが2曲目から「エア・バッグ」「ジャスト」を、後半も「フェイク・プラスティック・トゥリーズ」「マイ・アイアン・ラング」を演奏し、しかも前日の「パラノイド・アンドロイド」も演奏したし、昔からのファンは大喜びでした。

 このバンドは最近では、7枚目のアルバム『In Rainbows』(2007年)を期間限定の専用のサイトを通じて先行でダウンロード販売を行ない、しかも購入時に購入者自らその値段を自由に決められるというシステムを採り、話題になりました。このほか、作品に環境問題を真っ先に取り入れたことでも知られ、音楽性もアルバムごとに大胆に進化していく姿勢も凄いし、コンサート面でいえば、日本のTV番組から最新のニュース音声を録音してライヴに真っ先に取り入れるといった時代性を意識したスタイルをはじめ、曲順を変えても照明やスクリーンの映像がぴったり同期している技術も素晴らしいと思います。

 レディオヘッドはヴォーカリスト、トム・ヨークのカリスマ性はもちろん、時代の先端を行く超クールなバンドというイメージが、もしかしたらそれほど彼らの音楽に詳しくない人たちの間にも流れているのかもしれませんね。個人的感想を書くスペースが全くなってしまったけど、長くなってしまったので、今日はここまでにします。

radiohead1211.jpgレディオヘッド『イン・レインボウズ』


*to be continued*

(※記事・写真の無断転載を禁じます) 

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
X:@natsumiitoh

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