美味しいレストランもある、ハンサム・シックなホテル。
PARIS DECO 2017.09.05
パリの“いま”が凝縮されたHotel National des Arts & Métiers(オテル・ナショナル・デザール・エ・メティエ)が3区にオープンした。最寄りの地下鉄駅はRéaumur Sébastopol(3号線、4号線)あるいはArts et Métiers(3号線、11号線)だ。パリでこれらの駅で下車する観光客は少なかったかもしれないが、これからは状況が変わりそう。ホテルはモダンで洒落ているし、宿泊客でなくても利用できる1階のチケッテリア(タパスカフェ)もレストランも、通いたくなる魅力的なスペースなのだから。そして、パリでいま欠かせないカクテル・バーもあるし。


Hotel National des Arts & Métiers。エチエンヌ・マルセル界隈やマレ地区へは徒歩で行ける場所にある。photos:Jérome Galland
ホテルから紹介しよう。オスマニアン・スタイルのふたつの建物をつなげた6フロアに、20平米から100平米(ペントハウス)までの66室からなるホテルだ。インテリアデザインのアイデアは、19世紀前半に創設されたご近所のフランス国立工芸院にオマージュを捧げるというもの。ここはエンジニアリングとその教育に捧げる場所であるということから、内装を手がけたデザイナーのラファエル・ナヴォは、優れた職人仕事と革新的なデザインをホテルにもたらすことにした。中庭に面している部屋、バルコニーのある部屋などタイプによって内装は微妙に異なるが、グレー、黒、ブルーという落ち着いた色にまとめられている。木、テラゾ、コンクリートといった素材、そして家具の丸いフォルムが端正なハーモニーを奏でる内装は、ちょっと古い例えかもしれないけれど“メトロセクシュアル・インテリア”と呼んでみたくなる。


客室料金は例えば20平米の部屋が169〜649ユーロ、23平米が229〜709ユーロ(バルコニーなし)、259〜739ユーロ(バルコニーあり)。100平米のペントハウスは1,269〜1,749ユーロ。photos:Jérome Galland
ホテルの前に広がるチケッテリアのテラス席は、建物が通りから引っ込んでいることもあり、快適度がとても高い。パリで流行りの店の仕掛人を3名集めて作り上げられただけのことはあり、この界隈には珍しく美味しい食事とスタイリッシュなインテリアが楽しめる場所。オープンして間もないけれど、奥のバーもイタリアンレストランもなかなかの人気だ。


レストランはガラス屋根が開閉式(photo:Jérome Galland)。天候の良い日は開いた屋根から爽やかな風が流れ込むスペースで、イタリアン! 予算はランチで30〜35ユーロ、ディナーなら45〜50ユーロ。


リストランテ・ナショナルとバー・エルバリウムは、インテリアも見所のひとつ。リストランテ・ナショナルの営業は朝食7時〜10時30分、ランチ12時〜14時30分(土日〜15時)、ディナー19時〜23時(木金土〜23時30分)の営業。photos:Jérome Galland


ホテルにはパリが見渡せるルーフ・トップ・バーがある。ここはあいにく一般オープンはしておらず、30名くらいのグループのための予約制スペースだ。photos:Jérome Galland
243, rue Saint Martin
75003 Paris
tel:01 80 97 22 80
www.hotelnational.paris
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。