パリの定宿、これからは9区の"ようこそ"ホテルに決定!
PARIS DECO 2017.09.29
手頃な価格のデザインホテルを! この素晴らしいコンセプトで、Hotel Paradis(オテル・パラディ)、Hotel Panache(オテル・パナシュ)を成功させた若き実業家アドリアン・グローガン。3つめのホテルHotel Bienvenue(オテル・ビアンヴニュ)をオープンした。彼がこのホテルに求めたのは、家族とともに寛ぎの時間を過ごしたくなる雰囲気。歓迎という意味の名前がよく似合うデザインホテルである。


クラシックな石の外観の中に、温かみあふれるホテルが潜んでいる。photos:Hervé Goluza
まずは緑の中庭から。アーティストのジュリアン・コロンビエによる、彫り物をほどこしたかのようなフレスコの床が珍しい。日本でも個展を開催しているし、またカルティエのショーウインドウやディプティックのキャンドルの器やパッケージも手がけたりと活躍する彼の仕事には、注目している人も多いだろう。この中庭では彼が描いた植物が床を覆い、その上を歩き、そこで朝食をとったり、ティータイムを楽しめるというから、ちょっとシュールな感じを体験できそう。


緑の中庭。ジュリアン・コロンビエのアート作品の上を歩く!! photos:Julie Ansiau
ホテルのインテリア・デザインを担当したのはクロエ・ネーグルという、新進デコレーターである。ホテルの内装を手がけたことのないドロテ・メリクゾンにオテル・パラディの仕事をアドリアンが託し、その成功をきっかけにドロテはデザイン界の大スターとなった。才能発掘にも優れるオーナーのお眼鏡にかなったクロエも、ホテルの仕事は初めて。彼女によるインテリアを紹介しよう。
おばあちゃんの時代を思わせる昔風の花柄のクッション、籐の椅子、ヴィンテージのランプ……エントランス・フロアに広がるのは、昔の家のような温もりにあふれ、明るい家族の暮らしが感じられる空間だ。ホテルに入ってくるゲストを、「ビアンヴニュ(ようこそ)!」と迎え入れる。




エントランス・スペースから、すでに夢のパリ滞在がスタートする。photos:Hervé Goluza
客室は38室。La Bien-Aimée(ラ・ビアン・エメ)、La Bien–dormi(ラ・ビアン・ドルミ)といった各室のネーミングが可愛らしい。幾何学模様のカーペット、幅広のストライプ……庭の奥の建物の8室はメイン館とは雰囲気が異なるが、いずれにしても快適な空間だ。
1階には日本人シェフのレストランが9月末にオープンした。カレーライスもメニューにあるとか! これについては、またの機会に紹介しよう。






クロエ・ネーグルによる客室はどこか懐かしさを感じさせつつも現代的な内装。photos:Hervé Goluza


愛らしいバスルーム。アメニティはパリ生まれのBonne Nouvelle。photos:Hervé Goluza
緑の中庭に面した朝食ルーム兼レストラン(日、月曜休業)。photo:Hervé Goluza
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。