グラマラス・シックに変身、オペラ座のレストランCoco。
PARIS DECO 2019.09.05
入口はrue Halévy側にあるものの、食事のスペースはまさに歴史的建造物であるオペラ・ガルニエの建物内というレストラン。春にCoco(ココ)と名前も変えて、大変身を遂げた。パレ・ド・トーキョーのレストランMonsieur Bleuやパリ装飾美術館のレストランLoulou、プランタンデパートの屋上のPerrucheなど、流行とは一線を画す個性的でクオリティの高さを感じさせる内装とおいしい料理で失望させないスポットを次々生みだしているParis Societyが仕掛け人であるゆえに、オープン前からパリっ子たちの興味の的だった。
ココ。オペラ・ガルニエの建物を愛でたければ、テラス席で食事を。photo : Romain Ricard
ココという軽い響きは弾けるシャンパンの泡のよう……。photo : Romain Ricard
以前はドラマティックな赤が主体だった店内が、室内建築家コリーヌ・サショにより、1920年代のローリング・トゥエンティーズをイメージした、グラマラスでシックな空間となった。床には大きな蓮の花が咲き乱れるカーペット、ランプシェードからはフリンジが下がり……全体がゴールド系の色でまとめられた空間に、背の高い椰子の木がにょっきり。常軌を逸した騒ぎが繰り返された20年代、アメリカで社交パーティが日常的に開かれていたのは、ちょっとクレイジーなこんな場所だろうか、と思わせるインテリアだ。ローラ・ゴンザレスが独走している感があるパリの室内建築の世界に、コリーヌの登場で新たな女性スターが登場したといっていいだろう。ココはコリーヌが独立して自分のオフィスを構えた最初の仕事だそうだ。個人邸宅も多く手がけているが、今後も彼女が内装を手がけるレストランは要チェックである。
ローリング・トゥエンティーズのみならず、シャルル・ガルニエがオペラ座を建築したナポレオン3世の時代の雰囲気も感じられる。photo : Romain Ricard
ちょっとドレスアップして出かけたくなる空間では? photo : Romain Ricard
中二階。丸天井の下での食事は、19世紀の建物の中にいる気分を満喫できる。photo : Romain Ricard
---fadeinpager---
ココはオペラ座でバレエやオペラを観なくても、誰にでも開かれているレストラン。しかも朝食時間から。さらにうれしいのは、ランチとディナーの間も営業していて、ティータイムを楽しんだり、フィンガーサンドウィッチやサラダなどで小腹を満たすことができる。ギャラリー・ラファイエットにも近いので、買い物後に立ち寄ってもいいのでは ?
シェフはジュリアン・シコワネ。前菜から「タイのタルタル」21ユーロ photo : Romain Ricard
魚料理から「シーバス」42ユーロ photo : Romain Ricard
「イベリコ豚」(写真)のようなしっかりした料理もあるが、「ココ・ボウル」(21ユーロ)や「マグロのリヴィエラ・サラダ」など軽食希望者のニーズにもこたえてくれるメニューが用意されている。photo : Romain Ricard
縁日のお菓子から高級店のデザートに最近昇格したチュロス(14ユーロ)。バニラクリームとチョコレートで。食後のデザートとして、あるいはティータイムのお供に。photo : Romain Ricard
Palais Garnier, 1, place Jacques-Rouché 75009 Paris
tel:01 42 68 86 80
営)7時30分〜11時(朝食)、12時〜14時30分(ランチ)、14時30分〜18時30分(スナック)、19時〜23時L.O.(ディナー)
無休
http://coco-paris.com
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。