アフリカのメティエダールと現在のデザイン展。
PARIS DECO 2021.09.09

パリ装飾美術館の吹き抜けの中央広間に、アフリカのモードとデザインを展示。photos:Mariko Omura
無料かつおもしろいのに、8月31日から9月5日と1週間もない短期間の展示だったのが残念! そう思わせたのはパリの装飾美術館で開催された『Bonne Arrivée (ボンナリヴェ)』である。スーパーマーケットの「Monoprix(モノプリ)」と「La Maison Château Rouge(ラ・メゾン・シャトー・ルージュ)」のコラボレーションを紹介した際に少し触れたけれど、これはアフリカのメティエダールとコンテンポラリーデザインを集めた展覧会だ。パンデミックの影響を受けたものもあるが、2020年はフランスにおけるアフリカ年なので去年から今年にかけてアフリカを巡る多くのイベントがフランス国内で催されている。これもそのひとつ。ラ・メゾン・シャトー・ルージュの創始者のユースフ&ママドゥ・フォファナ兄弟が2014年に始めた協会「Les Oiseraux Migrateurs(レゾワゾー・ミグラトゥール)」が企画したファッションとデザインをめぐるプロジェクトである。

廃材利用の家具やメンフィス調の家具などアフリカのデザイナーたちの豊かな創造性が展開された。photo:Mariko Omura

左: セネガルのビーズ椅子(奥)はパリでは恒常的にマレ地区のCSAOが取り扱っている。 右: アフリカのデザインで作り上げられたインテリア。ヴィンテージもあれば、モノプリとメゾン・シャトー・ルージュのコラボレーションによるクッションも。photos:Mariko Omura

左: 植物繊維を素材にアルチザンの手から生まれるランプシェード、スツール……。 右: セラミックも多くの陶芸家の作品が展示された。photos:Mariko Omura
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ようこそアフリカに、といった感じに染色、陶器、カゴ細工……昔ながらの手法とそれを活用した現在のデザインに会場で迎えられる。美術館中央の吹き抜けスペースをうまく使い、視覚的にも魅力的な空間が作り上げられ、そこに並ぶセネガルやナイジェリアからのパリでは日頃目にする機会のあまりないプロダクツへと来場者の目を誘導。吹き抜けスペースの左右に並ぶ複数の小部屋は、陶器をはじめとするアフリカのさまざまなメティエダールについて映像と商品での構成だ。サステナブル、エコレスポンシビリティといったいま求められている価値が、いまも昔もリスペクトされたもの作りが行われているアフリカ。カラフルな会場内、多くの発見に興奮してスマートフォンで撮影をするミレニアル世代の姿が目立った。開催期間中に開催されたトークショーでユースフ・フォファナも語っていたように、アフリカのデザインはスカンジナビアデザイン、日本のデザインなどに並列できるものなのだ。

ワックスなしにアフリカのモードは語れない。右は2020年のディオールのクルーズコレクションから。マリア=グラツィア・キウリは象牙海岸のUniwax社とコラボレーションした。photo:Mariko Omura

The Ethical Fashion Initiativが支援する、ブルキナファソの会社が織る布を使ったトートバッグと、パーカ&ショーツはロエベ。photos:Mariko Omura
editing: Mariko Omura