パリの歴史が息づく5ツ星ホテル、左岸と右岸 右岸/オペラ座のすぐ近く、女性のひとり旅にもル・スクリブ。

PARIS DECO 2022.05.17

ルイ・ヴィトンが1871年にブティックを開いた場所に、現在ホテル「Sofitel Le Scribe Paris Opéra(ソフィテル・ル・スクリブ・パリ・オペラ)」がある。創業者ルイの荷造り職人としての仕事を高く評価していたのが、ナポレオン3世妃ユージェニーだったことは有名だ。そのブティックのすぐ近くに、ガルニエ宮と呼ばれるパリ・オペラ座が完成するのは1875年。これはナポレオン3世の命で建築が始まった建築物だが、工事が長引いている間に彼は失脚し、自分のために用意したスクリブ通り側の入り口から入ることも、皇帝席に座ることもなく終わってしまったというエピソードがある。1852年に彼が皇帝に即位し、1870年に退位するまでのフランス第二帝政期はパリの贅沢産業が開花した時期でもある。プランタン・デパートがオープンしたのも1865年で、ショッピングの楽しみにパリっ子たちが目覚めた時期でもあるのだ。

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左: スクリブ通りに面したエントランスに入るや、パリの大通りの喧騒から切り離されて平穏な雰囲気に包まれる。 右: 奥まったフロント。そのカラフルな天井に注目を。ル・スクリブでは客室のバスルームの天井も、このようにカラフルなタイプがある。photos:Yann Deret

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オペラ座から徒歩で数分もかからないホテルであるル・スクリブが2年がかりの改装を終えて、この春に新生した。ホテルにパリらしさや場所のルーツがとりこむ改装を任された室内建築家はトリスタン・オエール。まずは1階のカフェ・スクリブに入ってみよう。トランクにオマージュを捧げたというデザインの家具が目に入る。というのも、ルイ・ヴィトンのブティックがあったというのが正しくこの場所ということからだ。通りに面していて、滞在客以外にも開かれたカフェは利用しやすいので覚えておくと便利だろう。紅茶はベッジュマン&バートン、コーヒーはテール・ド・カフェ、スイーツはユーゴ&ヴィクトール。甘い寛ぎの時間が待っている。

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ホテル1階のカフェ・スクリブ。photos:(左)Yann Deret、(右)Mariko Omura

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5ツ星ホテルに観光客は何を期待するのだろうか?という問いが、改装の出発点にあった。回答は、パリにいることが実感できること。それゆえ、客室はホテルにいるというよりオスマニアン・スタイルのアパルトマン的雰囲気が感じられるような内装にまとめられ、カーペットはシャネルをイメージしたツイード風だ。またショッピングの聖地ともいえるパリ。クローゼットはブティックを思わせるオープンスタイルである。暖炉を模した装飾には地下鉄駅でおなじみの横長の白タイル。またパリでの観光目的がミュージアムである人も多いことから、アートを感じさせるディテールが客室内にもたらされ、通路のカーペットのストライプはダニエル・ビュレンの仕事を意識してだという。ル・スクリブは1863年に貴族たちが集まるル・ジョッキー・クラブ開設のために建築された建物。いまそのクラブのあった場所には、2フロアを占めるスイートルームが設けられた。プルミエ・エタージュの入り口から部屋に入るとサロンが広がり、ドゥージエム・エタージュの入り口からは寝室に通じるという造りである。なお、ソフィテルのホテルはベッドの寝心地の良さが高く評価されている。このスイートに限らず、ホテルのどの客室でもその快感を味わうことができるのはもちろんだ。

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客室は複数タイプあり、1泊450ユーロ〜。左: ベッドのヘッドボードは屏風風。 中: カフェだけでなく、客室にもモダンな楽焼のテーブルを配して。 右: パウダリーピンクの壁にバスタブが囲まれた、こんなフェミニンなバスルームも。photos:Mariko Omura

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美術館、地下鉄、シャネル……パリのインスピレーションが生きる客室。photos:Mariko Omura

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38のスイートを含め合計201室の5ツ星ホテルなのだが、通りに面したホテルのメインエントランスもフロントもこぢんまり。そのせいか外界から護られているような安心感が到着と同時に得られる。女性のひとり旅も悪くないホテルといえそうだ。地上階にはカフェ・スクリブが通りに面してあり、フロントの奥の広いスペースを占めるのはバーとレストラン。カフェの椅子はビニールを編んだビストロ・チェア、バーの仕切りはカナージュ、レストランの個室にはアラブ諸国でおなじみの光と風を通すレーシーな仕切り……といったように軽やかでポエティックな点がインテリアに共通している。レストラン「Rivages(リヴァージュ)」は、1895年12月にリュミエール兄弟が監督・製作した『ラ・シオタ駅への列車の到着』というモノクロサイレント短編ドキュメンタリーの有料鑑賞会が開かれたという説のある「Salon indien du Grand Café」があった場所にある。ラ・シオタが所在するのが南仏なら、このレストランが見事なガラス屋根の下に広がる空間で提案するのも偶然にも地中海料理。シェフはオテル・マティニョンのシェフだったドゥニ・リッパで、野菜、海の幸、フルーツにフォーカスした太陽が感じられる料理が味わえる。地中海料理に合わせて、ワインも南仏、イタリア、ギリシャから。

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左: ホテルの外観の白い装飾を背にしたコンシェルジュ・テーブル。 中: ル・バー・デュ・スクリブ。 右: バーからレストランを眺める。photos:(左・右) Mariko Omura、 (中)Yann Deret

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左: 日中、自然光が燦々と差し込むレストランのリヴァージュで地中海料理に舌鼓。 右: プライベートな会食にぴったりな個室もある。photos :(左)Yann Deret、(右)Mariko Omura

Sofitel Le Scribe Paris Opérat
1, rue Scribe 75009 Paris
tel 01 44 71 24 24
www.sofitel-le-scribe-paris-opera.com
Instagram: @hotelscribe

editing: Mariko Omura

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