手描きの壁が可愛い! 秘密にしておきたい9区のオテル・アルヴォール。

PARIS DECO 2023.03.07

活気あふれる9区にあって、秘密めいたこの通りだけはとても静か。その8番地に5つのフロアにスイートを含めて全30室という4ツ星のプチ・ホテル「Hôtel Arvor(オテル・アルヴォール)」がある。

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左: 最寄り地下鉄駅は12号線St.Georges。ノートル・ダム・ドゥ・ロレット通り18番地とアンリ・モニエ通り2番地を半円を描いて繋ぐラフェレール通りにホテルは所在する。約200mの短い通りで、立ち並ぶ個人邸宅の多くはかつて娼館だったとか。 中: ニナ・コルチツカイアが部屋の壁、部屋番号のペインティングを担当。 右: 窓からの静かな眺め。エッフェル塔が見える部屋もある。photos:Mariko Omura

このホテルの個性、それはアーティストのNina Koltchitskaia(ニナ・コルチツカイア)が客室の壁にハンドペインティングを施していることだ。なんと贅沢なプチ・ホテルだろう。ジュエラーの「Sophie d’Agon(ソフィー・ダゴン)」が北マレにオープンしたブティック内で、ニナが手描きしたバラが咲き誇り、コロンブが飛翔する夢とポエジーあふれる壁に目を喜ばせた人もいることだろう。これはニナの仕事を知ったソフィーの願いで実現したフレスコ画だ。このホテルではオーナーが彼女と知り合いだったことから生まれたプロジェクトで、「9区はアーティストたちが過去に大勢集まっていた地区。ここはアートなホテルといっても単にアート作品を部屋に飾るというのではなく、ニナのペインティングによって壁に芸術家たちの魂が宿ることになるのです」と。

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作業中のニナ。彼女のインスタグラム@ninakoltchitskaia では、オテル・アルヴォールでのほかの客室内の仕事を見ることができる。photo:©︎ Pierre-Alexandre Busson

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部屋ごとに異なるチャーミングなフレスコ画。常連の中には常に同じ部屋を指定する人もいるそうだ。

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営業を続けながら徐々に改装が進められているホテル内、すでに7室の制作を彼女は終えている。もともとはロックダウン期間中、客のいないホテルに暮らしていた彼女が部屋の一室に描き始めたのがきっかけだそうだ。儚げで詩的な線と明るい色彩がつくりあげる壁画は部屋ごとにテーマが異なる。全客室の壁が終わったら、地上階の壁と天井も……と、ニナの世界がホテル中に広がることになるらしい。さて、この地上階。コージーな朝食室とゆったりとしたティーサロンのふたつに分かれ、後者は宿泊客以外の利用も可能だという。大きな書棚を備えた空間、カフェやグラスワインなどで静かな時間を過ごせるのはなかなか魅力的だ。常連客に愛されているホテルのアイドル犬、クラークとの出会いも待っている。

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左: ホテル内、花が随所に飾られている。 右: 朝食は別料金(16ユーロ)。パンは9区のビオのパン屋から、カフェはVerletからとクオリティに配慮をしたチョイスが自慢だ。卵料理はオーダーを受けてから作り、また、ホームメイドのケーキも毎朝用意される。

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左: 地上階のサロン・スペースでホテルのマスコット犬に迎えられるかもしれない。 中: 書棚の前には大テーブル、この右手には通りに面してソファを配したリラックス空間が広がる。 右: カフェのカップにはペイネの絵。ロマンティック・ホテルである。

地上階の小さなフロントデスクの後方には、小さな中庭があり、そこに面してスイートが1室。ここはすでに彼女のフレスコ画が完成し、ブロカントなどで掘り出した家具を配置した自宅風の空間で気持ちよく滞在できる。この中庭は小さいながらも緑に恵まれ、宿泊客にとってちょっとしたオアシスだ。立地やサービスのクオリティにすると、客室料は手頃である。シャワーのみのホテルが増えている中、バスルームにバスタブが備えられているのもうれしいポイントでは?

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左: 地上階の中庭。 右: 中庭に面したスイート001号室は31㎡と広い。3〜4名が宿泊できるファミリー・スイートもある。室料は110ユーロ(15㎡)〜。

Hôtel Arvor
8, rue Laferrière
75009 Paris
www.hotelarvor.com
@hotel_arvor

editing: Mariko Omura

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