時空を超えたアール・ドゥ・ヴィーヴルが魅力のホテル、グラン・マザラン。

PARIS DECO 2023.10.15

マレ地区のBHVの脇道のお向かいに9月18日にオープンした5ツ星ホテルの「Le Grand Mazarin(ル・グラン・マザラン)」。オーナーのMaison Pariente(メゾン・パリアント)にとってこれはパリ初のホテルという。そう聞いてもピンとこないかもしれないけれど、同オーナーはすでに高級リゾート地のサントロペ、クルシュヴェルなどにホテルを有していて、そして今回がパリ……この地図はヴァンドーム広場のメゾンのハイジュエリーが顧客を求めて移動する行き先に重なる。リュクスを理解できるゲストが赴く土地ということなのだろう。3つの建物を繋げて建築されたホテルで、その3つの中央がかつてヴィラ・マザランだったという土地の由来を尊重しての命名だという。このホテル、パリのホテルにおける室内装飾の新しい潮流が感じられるインテリアが、とにかくおもしろい。パブリックスペースも客室も個性的ながら、温かみがあり、ゆったりとした時間を過ごしたい、と思わせる。街を歩きにきた観光客にとってはジレンマを生む、いささか罪作りなホテルなのだ。

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左: ル・グラン・マザランはBHVの裏通りの並びにある便利な立地だ。 右: 世界中が注目するインテリアデザイナーのMartin Brudnizkiによる内装。photos:(左)Mariko Omura、(右)Vincent Leroux

ホテルのコードカラーである紫色の制服を着たボーイが扉を開いて、こぢんまりとしたチャーミングなレセプションに入るところから旅が始まる。ホテルに来たというより、高貴な出自の知り合いがヨーロッパのある小さな国に所有するシャトーに招かれたという気になる。ホテルの居住性は最新設備で備えられているが、装飾オブジェのメインは骨董とブロカントのミックス。その時代も幅広くという折衷スタイルゆえに、長いこと同じファミリーが守り続けている家といった印象がホテルに与えられている。また、こうした場所に集まったパリの前衛芸術家たちの存在も感じられて、ちょっとパリの18〜19世紀の社交サロン的香りも漂うホテルである。

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レセプション。時代も国籍もミックスの折衷様式のインテリアに目を奪われる。photo:Vincent Leroux

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ホテル中に漂うアーティ・エレガンスな雰囲気の室内建築を作り上げたのはロンドンにデザインスタジオMBDSを構えるMartin Brudnizki。レセプション隣接のミニサロンは特別な用事がなくても、このスペースの魅力に浸っていたいと思わせる。薄グリーンのモワレの壁と揃いのカーテンにうっとり……ガラスの仕切り越しに見えるパティオの壁にはミノルカ島出身のソフィア・ペガが手描した動物、植物が遊ぶ「不思議の国」が。彼女はさらにパティオの吹き抜けの壁にタロットカードのような窓も描いている。このパティオは食事もとれる空間とのこと。今後の展開を楽しみに待とう。

ホテル内、地下のウェルビーイングフロアはOh My Creamによるスパ、フィットネスルーム、プールがあり、ここはホテルの宿泊客とメンバーが利用できるそうだ。地下であることを忘れさせるJacques Merle(ジャック・メルル)による、ナルキッソスの神話をテーマにしたパステルカラーのフレスコ画は幻想的で美しい。

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左: アーティ・エレガンスが凝縮されたレセプション脇のサロン。 右: パティオ。photos:Mariko Omura

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地下のプール。アーティストのジャック・メルルによるジャン・コクトー・タッチのフレスコ画を眺めながら泳ぐ! photo:Vincent Leroux

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アメリー・メゾン・ダールによる壁の装飾、ロブスターのカーペット、アンティークの鏡など廊下を歩くだけでも楽しい旅ができるホテル。photo:Mariko Omura

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11のスイートルームと50の客室はどの部屋もペールグリーン、サーモン、イエローといった色が目に優しい。フランスの伝統技を持つ職人たちによる仕事を活用して仕上げられた客室には、フランスの装飾芸術の美しい伝統が感じられる。印象的なのはベッドの上を覆うように飾るオービュッソン風の手織りのタペストリーで、室内にクラシックなイメージと温かみを与えている。客室さらにパブリックスペースを飾る絵画などアートピースやヴィンテージの鏡などのセレクションは、「Amélie Maison d’Art(アメリー・メゾン・ダール)」に任された。アヴァンギャルドな作品もあれば、オーナーがポーランド出身ということに由来して集められた東欧的な作品も混じっている。バルコニーからはマレ地区の屋根、ポンピドゥー・センターが眺められたり……シッティング・ドッグと呼ばれる小さなバルコニーが愛らしい。これまでのパリのホテルとは異色の5ツ星ホテルの誕生だ。

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ベッドの上のタペストリーがクラシックでノーブルな印象を生み出している客室。photos:Vincent Leroux

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古い家具やオリジナルランプなど、部屋ごとにインテリアは微妙に異なる。photo:Vincent Leroux

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左: 木素材に彫りが施され彩色されたアンティークのクローゼットにも注目を。 右: バスルーム。アメニティは5ツ星ホテルらしくディプティックだ。photos:Vincent Leroux

客室は宿泊しないとその魅力を味わうことができないけれど、地上階には宿泊客以外にも扉を開いている「Boubalé(ブーバレ)」のバーとレストランがある。バーはちょっとばかりお洒落して出かけたくなる。野菜のナスを素材にしたカクテルもあるそうで、仲間と一緒に行くと話も弾みそう。レストランはオープンと同時に話題の場所となっている。M.dsによるインテリア、そしてルバンタン料理で人気のシェフAssaf Granitによる料理。この店については後日改めて紹介することにしよう。

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ブルーとオレンジの組み合わせの妙がチャーミングなバー。

Le Grand Mazarin
17, rue de la Verrerie
75004 Paris
www.legrandmazarin.com
@legrandmazarin

editing: Mariko Omura

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