オテル・デ・グラン・ヴワィヤジュールとそのブラッスリー、知っておきたい左岸の新スポット。
PARIS DECO 2024.01.09
パリ市内でいちばん長い通りといわれるヴォジラール通り。6区のリュクサンブール公園から番地が始まり、15区まで延々と続く。その92番地にこの秋、「Hôtel des Grands Voyageurs(オテル・デ・グラン・ヴワィヤジュール)」がオープンした。どのあたりかというと、レンヌ通りに近く、最寄りの地下鉄駅はSt.Placideで、ボン・マルシェの食料品館ラ・グランド・エピスリーまでは徒歩でたったの7分という位置である。ここはホテルというだけでなく、1階には朝から営業しているブラッスリータイプのレストランもあり、地下にはバーもあるので知っておいて損のない左岸のニューアドレスのひとつなのだ。
左: ブラッスリーで用いられているコースター。 右: 一部の客室にはレコードプレーヤーが備えられている。photos:Mariko Omura
通りに面した扉を開くと、カーブを描くバーが目に飛び込んでくる。これがグラン・ヴワイヤジャールでの旅の始まりだ。photo:Romain Laprade
かつてホリデイ・インだった建物で、スイートも含めて全138部屋と最近オープンするホテルの中ではかなり大型なホテルだ。室内建築を担当したのはリュクスな空間を多く手がけているファブリツィオ・カシラギである。部屋数の多いホテルにありがちな無味乾燥なデザインとは一線を画すシックな内装で、その昔大西洋を横断していた豪華な客船や寝台車をインスピレーション源とし、ホテル内に漂うのは1930~40年代の洗練されたエレガンス。メインエントランスから入ると目に入るのはブラッスリーのクラッシックなバーなので、宿泊者だけでなくブラッスリーの利用客もこの雰囲気を味わえるのだ。
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バーカウンターのスツールに腰掛けてカクテルタイムを過ごしてみるのはどうだろうか。あるいはフランスとニューヨークの味がメニューを作り上げているブラッスリーでランチかディナー? それとも7時から10時30分なら、ホテル客に混じって朝食? ビュッフェスタイルで、La Ferme de la Tremblayeなどパリ近郊の生産者から届くビオの食材の朝食で1日をスタートできる。食事のメニューにある料理数はそう多くないけれど、とてもフランス的なヴィシソワーズスープやムール・マリニエール、小腹が空いてる人にはグリルド・チーズ・サンドイッチやロブスターロール......。アラカルトメニューだけでなくランチタイムメニュー(32ユーロ、37ユーロ)もあり、こちらもフレンチとニューヨークの味がミックスされている。
地上階から階段を降りると、そこには40席のスピークイージー的な秘密めいた雰囲気のバーPoppyが。ゆったりとしたソファに座って、グラス片手に夜の時間を過ごすには最適の場所だ。ここは水曜から日曜の21時から翌2時までの営業。
1階のブラッスリーの営業は7時から23時まで。photo:Romain Laprade
左: ブラッスリーのバーでカクテル? 右: 最近パリのレストランであまり見かけないヴィシソワーズ(12ユーロ)が前菜に!
ちょっとお腹が空いたという時には、柚子マヨネーズのロブスターロール(左、25ユーロ)やトマトスープとグリルド・チーズ・サンドイッチ(右、14ユーロ)を。
夜のお楽しみをスピークイージー風のバーPoppyにて。photo:Romain Laprade
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客室フロアの廊下は、手すりのロープ、磨きのかかったメタルと木の腰板が豪華客船で旅している気分を感じさせる。ブルーに星が煌めく絨毯は部屋の中へと続いて......。5タイプある客室は世界を股にかけたアートコレクターの住まい、というイメージで作り上げられて、デラックスとジュニアスイートにはレコードプレーヤーが設置されている。ホテルのオンラインライブラリーを経由して、希望のレコードをオーダー可能。ブラッスリーで使われているコースターがレコード盤を思わせるのは、ここに結びつくのだ。
客船や寝台車を連想させる贅沢なイメージが広がる客室。ベッドの頭上にかけられている石膏の浅浮彫の額は彫刻家フランソワ・ジルによる翼を広げた男性で、これは彫刻家アントワーヌ・ブールデルの美術館がホテルからそう遠くない場所にあることからカシラギが得たアイデアだという。
左: 廊下の表示。 右: 138の客室は5タイプあり。クラシック(15㎡)280ユーロから。photos:Romain Laprade
家具も含め、豪華客船のイメージで作られた内装。パリにいながら船旅に出ているような気分が味わえる。photo:Romain Laprade
ベッドの上の浅浮彫の額も1930〜40年代風の雰囲気作りにひと役買っている。photo:Mariko Omura
シンプルなバスルーム。アメニティはディプティック。photo:Romain Laprade
宿泊者が6時から22時まで利用できるフィットネスルーム。なお2名用のサウナも同じ時間帯で利用可能。photo:Romain Laprade
92, rue de Vaugirard
75006 Paris
www.hoteldesgrandsvoyageurs.com
@hoteldesgrandsvoyageurs
editing: Mariko Omura