ハラスメントに敏感な時代、部下への指導はどうしたらいい?

フィガロジャポン5月発売号から始まる新連載「たゆたえども沈まず 島地勝彦人生相談」。読者から寄せられた悩みに、かつて『週刊プレイボーイ』を100万部売った“伝説の編集長”島地勝彦が答えます。madame FIGARO.jpでは連載の開始に先立ち、web限定で人生相談を実施しました。第3回目の相談者は、後輩の指導に悩む女性。さて、シマジ先生の回答は?

Q. 部下への注意、どのようにしたらいいのでしょう?

中間管理職として働く者です。13人の部下がいますが、後輩への指導で悩んでいます。基本、残業はさせてはいけないという会社のルールのもと、仕事の配分を決めてはいるもののやはり人の能力により差が出てしまうこともあり、つい注意してしまうことも。先日、後輩にアドバイスのつもりで、メールに対してインラインでコメントを返信したら、その返信時間が夜の21時だったことと、あまりに長い返信のため、パワハラです、と会社の上層部に訴えられてしまいました。夜中の0時過ぎや休日ならまだ分かりますが、夜の21時でもダメなのか、自分は残業だらけなのに…と、仕事はやりがいもあり楽しいのですが、なんだか虚しくなっています。(41歳/eコマース 制作 管理職)

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photo:MIREI SAKAKI

A. 中間管理職という立場は、ときに上から攻められ、ときに下から突き上げられる微妙な存在なのです。それにしても、大変な時代になったものですね。わたしの現役時代なら、こんな部下はすぐに他部署に異動させていたものですが、いまはそのような強引な荒技をやるわけにはいきませんよね。

相談者は後輩の指導に悩んでいるようですが、常識的に理不尽を超えるような命令をしない限り、自分の思うところに従い、愛情を持って指導すべきです。いざというときには怒らなければならないこともあるでしょう。そのときはみんなの前ではなく、部下をこっそり部屋に呼んで、淑々と諭せばいいのです。リモート時代、直接会うのも難しいかもしれませんが、注意するときには常に一対一を心がけ、相手が周りの目を気にしなくていい状況を作り上げることが肝要です。

そして普段は、部下のいい点を褒めることを心がけましょう。編集者時代、会社役員、社長、エッセイスト、またオーナーバーマンとして、わたしはどんなときでも関わる全ての人を“褒め殺す”ようにしてきました。笑顔とユーモアが現場を活気づかせ、いい企画を生み出すことを本能的に知っているからです。どんな人間にも、“怪物性”が宿っています。そこを見つけ出し、褒めることによって、相手は持てる力の何倍もの力を発揮してくれるものです。

「こんな企画を思いつくなんて、お前は天才だ! お前が編集長になる時代が愉しみだよ」「細かいことまで、よく覚えていてくれたな! お前が近くにいると、どんなときでも安心だよ」「そんな面白い話は初めて聞きました! 今度エッセイを書く時、是非このエピソードを使わせてください」「さすが、○○さんは物知りですね。○○さんがバーにいらっしゃると、まるで大学の講義を聞いているようで興奮します」

褒められて照れる人はいても、嫌な思いをする人はめったにいません。わたしと長い付き合いで、“褒め殺し”を浴び慣れているはずの編集者ですら、いざ褒めると素晴らしい働きを見せてくれるのですから、この戦法は絶大な効力を発揮すると約束します。

相談者もとにかく、出し惜しみせずに笑顔で部下を褒めましょう。部下は怒りっぽい上司より、ニコニコしている上司を好むものです。あなたの笑顔に、部下は必ず答えてくれますよ。相談者のおっしゃる通り、仕事はやりがいがあり、愉しいものでなければいけません。

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1941年生まれ。『週刊プレイボーイ』編集者として直木賞作家の柴田錬三郎、今東光の人生相談の担当者に。82年に同誌編集長に就任、開高健など人気作家の人生相談を企画、実施。2008年からフリーエッセイスト&バーマンとして活躍。現在は西麻布『Authentic Bar Salon de Shimaji』でバーカウンターに立ち、ファンを迎えている。

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