機は熟した! エルメスのカレジュアンをようやく手に入れた話。
編集部員の、最近のお買い物。 2025.09.18
いつかは欲しいな。
ずっとそう思い続けてはいるものの、その"いつか"が訪れないまま時間が過ぎてしまった、そんなことってありませんか?
私にとってのそのアイテムとは、エルメスのカレジュアンです。
いつかは欲しいと思い続けて、なかなかご縁が訪れないまま、随分と時間が過ぎてしまいました。
今年の5月、とある出張でアルルを訪れたのですが、
春の南仏は想像以上に寒く、
初夏の装いで出張のワードローブを組んでいた私は、滞在中ずっと震えて過ごす羽目になりました。
その出張でご一緒させて頂いた他媒体のエディターの方が、
気温が下がってきたタイミングで、小さなハンドバッグからそっと取り出して、半袖のTシャツの上からサッと巻いていたのがまさにエルメスのカレジュアンでした。
カレジュアンはカシミヤ70%とシルク30%の混紡の生地で、シルクだけのスカーフよりも冬場はしっかりと暖かく、さらにシルクの軽やかさが加わることで夏場でも軽やかに使うことができます。
体をすっぽりと包み込む136×135cmの大判サイズなので、
スカーフというよりは、
もはやオールシーズン使えるコートと言っても過言ではないのではないでしょうか。
夜風に当たって冷え切った二の腕を摩って寒さを凌いでいた私は、
彼女のそのあまりにもスマートな行動を見て、再び、カレジュアンへの熱を静かに高めたのでした。
そして、ついに機が熟したのです。
2025AWの新作展示会でカレジュアンの新作を見た瞬間、「時は来た」と独りごちた私。
エルメス シュヴァル・ドゥ・クール ¥234,300
私が一目惚れしたのはこのバンダナ柄のマリンというカラーです。
アウターならいざ知らず、四角い一枚の布に23万円......!と一瞬、躊躇した私ですが、
信頼しているスタイリストさん数名に相談したところ、
「これは絶対に後悔しない買い物だから、今すぐに買いなさい」と強く背中を押していただき、
表参道のブティックでえいやっと購入しました。
一口にバンダナ柄とは言いますが、細かなディテールがとにかく可愛いんです。
日本人アーティストの野村大輔さんによるデザインなのですが、エミール・エルメス・コレクションのカタログで見つけた19世紀の装蹄師の錬鉄製の看板にインスピレーションを得て生まれた図柄だそう。
中央には馬蹄で縁取られた大きなハートが。
星を散りばめ、蹄鉄を装着した馬たちが駆け巡ります。
ハートと星という乙女心に刺さりまくる2大モチーフをこんなにもモダンに表現してくれるなんて、もはや天才以外の何者でもありません。
そして、職人の手作業で施されたベージュの縁かがりの内側には、アイコニックなシェーヌ・ダンクルのモチーフが。
適当に巻いても素敵に見えるそのおおらかさと器の広さにも惚れ惚れ。
ふわっと軽くて嵩張らず、小さく折り畳めるてシワにもなりにくいので、常にバッグに入れて持ち歩いています。
いまの季節はTシャツの襟元に巻いて冷房対策や日除けに、
これからの季節はニットに合わせてマフラーのように使ってもいいな、と妄想が止まりません。
さらに、首元にこのネイビーのスカーフを巻くだけで、全体的にきちんとした人に見える、という嬉しい効果も。
ヴィンテージのミリタリーのオールインワンやパーカなど、
どちらかというとカジュアルで草臥れたムードの服が好きなのですが、
こんな私でも、このカレジュアンを首元にラフに巻くだけで一気にエレガンスを纏うことができます。
急な会食や気を遣う相手方への訪問も、これさえあれば胸を張って臨めそうです。
来週の頭からまた海外出張が入っているのですが、
軽くて嵩張らない万能なこの子を、旅のお供に連れて行きたいと思います。

フィガロジャポン副編集長。ファッション担当。愛車(自転車)で爆走する姿を、都内のあらゆる場所で目撃される日々。この夏は、素手でヤモリとカブトムシとコクワガタをむんずと捕まえられるようになった。真夜中に一人で湯船に浸かりながら、こっそりと読書をする時間が何よりのご褒美。今一番欲しいものは、好きな服が似合う身体。好きな野菜は豆と茄子、菌類はキノコ、細胞はマクロファージとキラーT細胞。
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