俳優、斎藤工。そして、映画監督、齊藤工。表舞台であらゆる「男」を演じ、裏方にまわり物語をクリエイトしていく。齊藤工がいま見つめるものとは、何か。彼自身がシャッターを切り、選び出す。モノクロームの世界に広がる、「生きた時間」を公開していきます。

2018年3月20日発売のフィガロジャポン5月号、今回のゲストは俳優、江波杏子。撮影が行われたのは、雪がこんこんと降り始めたとある1月。集合したのは六本木のアートギャラリー、ShugoArtsだ。

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「自分がATGなどの邦画に熱中していた頃からの絶対的なヒロイン。時代を背負って立ってきた江波さんの強さ、美しさは唯一無二です」

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江波は、黒いハイゲージのタートルネックニットに、タック入りのパンツ。そこにややオーバーサイズのウールコートを羽織って登場した。素敵ですね、と伝えると「このコートは昔のディオールなんです」と一言。マスキュリンなスタイルとエレガントな所作が合わさり、現場の人間全員が虜になる。

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「女性ではあるのだけど男性的な強さや芯を感じます。男性の力を借りずに自己を演出してきた江波さんだからこそ生まれる、この凛とした印象。ある意味、近寄りがたいという。でも、とてもなめらかでもあり……」
5分、10分、20分。無音の空間でシャッターを切っていく。「撮影を続けていく内に、呼吸が合っていく感覚があった」と話す齊藤。短い撮影が終わった後、写真を見て「まあ、細江英公のような、あの時代の雰囲気を捉えてらっしゃるのかしら。すごく素敵ね」と江波杏子は静かに語った。

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昼前。エレベーターで帰る際、「(掲載される写真は)あなたの選んだ写真でいいわ」と一言。言葉を多く交わすことなく呼応する。そんなふたりのセッションを見た。

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江波杏子 KYOKO ENAMI
俳優。1960年代より数々の映画、テレビドラマ、舞台にて活躍。映画出演数は、90作品を超える。2016年の舞台に引き続き出演する石田衣良原作の映画『娼年』は、4月6日より全国公開。4月14日、ドラマ「京都人の密かな愉しみBLUE修行中-祝う春-」(NHKBSプレミアム)が放送。
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TAKUMI SAITOH
移動映画館プロジェクト「cinéma bird」主宰。映画監督作に『半分ノ世界』(2015年・国際エミー賞ノミネート)。国内外の映画祭にて作品賞、監督賞、俳優賞等、現在6冠を獲得した初長編監督作『blank13』が現在公開中。

ShugoArts
東京都港区六本木6-5-24 complex665 2階
tel:03-6447-2234
営)11:00 - 19:00(火〜土曜
休)日、月、祝 ※展示替え期間は休廊
撮影時開催されていたのは、藤本由紀夫によるインスタレーション「STARS」。柱状のオールゴールがギャラリー内に並び、訪れた人は自由に音を奏でる。重なりあうミニマムな音、途中に配置されたタイプライターの作品、インタラクティブな空間。偶発的なさまざまなことを発見できるコンセプチュアルアートだ。開催中の情報は、http://shugoarts.com/まで。

 

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