『シュガー&シュガー』の収録現場で、山口一郎を齊藤工が撮影。
「齊藤工 活動寫眞館」について 2021.12.20
俳優・斎藤工が、アーティスト・齊藤工として手がける、モノクロ写真。尊敬する人、会いたい人にカメラを向け、映画のメインキャストを撮影するように、一瞬の表情と佇まいを写し取る。フィガロジャポン本誌「齊藤工 活動寫眞館」に未掲載のカットと、齊藤自身の言葉で、撮影舞台裏を綴ります。今回は、NHK「シュガー&シュガー」で共演したサカナクションの山口一郎を撮影した。
サカナクションの山口一郎と齊藤工。一見共通点のないふたりが、NHK「シュガー&シュガー」で共演した。同番組は山口一郎をパーソナリティーに据え、歌やサウンドはもちろん、彼ならではの実験的アプローチで音楽をとりまくさまざまなカルチャーに目を向けるもの。
「正直、会いたいけど会いたくない方でした。才能の塊と言うイメージで、お会いしたら己の未熟さが露呈して落ち込むだろうなと。しかし、いざお会いするとそんな臆病な自分ごと包み込んでくださいました」
41歳の山口に対し、「活動寫眞館 050」で特集したように齊藤も今年8月に40歳を迎えた。普段なかなか聞くことのできないプライベート感満載のトークが繰り広げられたのは、ふたりが同世代だからこそ。
ともに「40代が楽しい!」と口を揃え、話は気になる結婚観へ。「家庭への責任がないし誰にも迷惑をかけないから、思いっきりアクセルを踏める」という理由で音楽を作っている間は結婚願望がないという山口の意見に、「子どもが好きだから、(結婚に)興味がないわけではない」と言う齊藤も共感しきり。
また、老後の人生観についても話を振られ、「映画を通して波乱万丈な人生をたくさん見てしまったから、『それは嫌だな』みたいな」と、これまで多くの映画に触れてきたことで自らの人生と映画を重ねてしまう齊藤らしい回答が。「働き終わったら老後を迎えるという日本人らしい生き方に乗りたくない。せっかくこんなかぶいた仕事をしているんだから、40代のうちに老後の感覚を味わいながら、クリエイションができればいちばんいいですね」と、すでに週末田舎暮らしのような生活を画策していることを明かし、山口も「めっちゃ気が合うかも、僕もまさにほんとそういう考え方」と大いに盛り上がった。
「この年齢、このタイミングで山口さんにお会いできて本当に良かったです。山口さんの"摩耗ではなく研磨"という理論と、自分の"腐敗と発酵"の理論が重なった気がしました。番組の編集にも責任を持って立ち会われ、たくさんの素敵な言葉を残されたにも関わらず、終始ゲストを立ててくださった。オンエアを観て、更に山口さんの懐の広さに感銘を受けました」
40代という円熟期を迎え、より進化するであろうふたりのクリエイションから、今後も目が離せない。
サカナクションとして2007年にメジャーデビュー。文学的な表現の歌詞と、幅広い楽曲のアプローチは新作をリリースするたびに注目が集まり、第64回NHK紅白歌合戦に出場、第39回日本アカデミー賞にて最優秀音楽賞をロックバンド初受賞するなど、その活動は高く評価されている。15年から各界のクリエイターとコラボレーションを行いながら音楽とさまざまなカルチャーが混ざり合うコンテンツを企画するプロジェクトNFをスタートさせ、多様な活動も行っている。
TAKUMI SAITOH
ナビゲーター役の NTV「こどもディレクター」(水曜 23:59~)放映中。出演映画『カミノフデ~怪獣たちのいる島~』が 7月26日公開。企画・プロデュースした今冬公開の児童養護施設のドキュメンタリー映画『大きな家』に続き、ハリウッド映画『ボクがにんげんだったとき/When I was a human』のエグゼクティブプロデューサーも務める。www.b-b-h.jp/saitohtakumi