愛の可能性を拓く人、永野芽郁を齊藤工が映す。

「かわいい、永野さん!」
これは、フィガロジャポン2024年3月号(1月19日発売号)の誌面のレイアウト作成のため、齊藤工の写真を納品したメールに対しての、デザイナーからの返信メッセージだ。

人が人に惹かれ心を向ける理由はなんだろう、と常々考えているが、「かわいい」という形容は、すでに心惹かれていることをメッセージする表現だと思う。顔の造作が美しくても、なぜか心を向けられない距離感を感じる対象がいるけれど、「かわいい」という言葉で表現される対象に対しては好きという想いが宿っている。永野芽郁はそんなふうに、表情ひとつで人の心を掴んでしまう愛らしさにあふれている。まさに、愛の可能性を拓く人物だと思う。

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2023年12月、長崎にて撮影。以下同。

「永野さんが無意識に放つオーラのようなモノは、圧倒的にその場が多幸感に照らされてしまう。そんな特有の引力を『半分、青い』の現場でも、『君が心をくれたから』の現場でも感じました。むしろパワーアップしている気が、、」(齊藤)

永野芽郁はかつて、フィガロジャポンの表紙にイタリアのハイブランドの服を纏って登場したことがあるが、その当時のSNSでも読者の共感メッセージがずば抜けて多かった。人懐こい笑顔で愛される人物だが、俳優としてのキャリアでは、可憐さとかけ離れた役を演じることも。近作『マイ・ブロークン・マリコ』では、友情に熱く、破天荒で、負のエネルギーがほとばしるようなはっちゃけた役柄シイノトモヨを演じている。『母性』の清佳役でも歪んだ愛の犠牲になる娘役で、日本アカデミー賞助演女優賞を得た。「かわいい」だけではない底知れない可動域が広がっていて、いい意味で予想を裏切ってくれるのが永野芽郁なのだ。

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いま放映中のフジテレビ月9ドラマ「君が心をくれたから」に心に傷を抱えた女性・雨として出演する永野。太陽という役名の山田裕貴との共演のなかで、雨と太陽は、片方が弱く湿り気があり片方が強く明るいというシンプルなイメージの枠に留まることなく、弱さと強さのバランスが時に逆転したり、時にお互いを補ったりする。世の中にある当たり前の不条理が、優しく描かれている。特に、「弱いこと」が相手に迷惑をかける、という一般的な思い込みを吹き飛ばし、人の見せる弱さとは、他者を励まして強くしてくれるとメッセージされているようで、観ていてやわらかい気持ちになれる。

齊藤は本作で永野と共演しているが、自身の役柄と永野演じる雨とのことをこう語っている。
「誰しもがでこぼこで、孤独や孤立を恐れているこの時代に、永野芽郁さんは、それらを暖かくまんまるにしてくれる唯一無二の存在だと思います。そんな永野さん演じる雨ちゃんに過酷な試練を与える役柄は心苦しいのですが、雨ちゃんが何を受け入れ、何を見つめ、どう乗り越えて行くかを、どうぞご自身の心を重ねてご覧いただきたいです」(齊藤)

永野芽郁/MEI NAGANO
1999年生まれ、東京都出身。NHK連続テレビ小説「半分、青い。」(2018年)でヒロインを演じ話題に。代表作に映画『キネマの神様』『そして、バトンは渡された』(ともに 21年)、TBS系ドラマ「ユニコーンに乗って」 映画『マイ・ブロークン・マリコ』(ともに 22年)など。出演映画 『母性』では第 46回日本アカデミー賞優秀助演女優賞。現在、Netflixシリーズにて初主演ドラマ「御手洗家、炎上する」配信中、映画『こんにちは、母さん』公開中、CX系月曜 9時主演ドラマ「君が心をくれたから」放送中。主演映画『からかい上手の高木さん』が 5月 31日公開。

TAKUMI SAITOH

ナビゲーター役の NTV「こどもディレクター」(水曜 23:59~)放映中。出演映画『カミノフデ~怪獣たちのいる島~』が 7月26日公開。企画・プロデュースした今冬公開の児童養護施設のドキュメンタリー映画『大きな家』に続き、ハリウッド映画『ボクがにんげんだったとき/When I was a human』のエグゼクティブプロデューサーも務める。www.b-b-h.jp/saitohtakumi

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