齊藤工・松坂桃李・白本彩奈・満島真之介、映画づくりの迷宮へ......。
「齊藤工 活動寫眞館」について 2025.04.18
WOWOWで2024年、松坂桃李原案の3本のドラマ「月刊 松坂桃李」が放送された。監督として松居大悟、沖田修一、齊藤工が参画、現在もWOWOWオンデマンドにて配信中だ。
ふ~む、松坂桃李のアタマの中ではこんなことが巡り巡っていたのか!と驚く。齊藤工監督・脚本の「何もきこえない。」は、AIと齊藤監督が共同監督し、オスカーが受賞できるような映画を、松坂、白本、満島出演で作るという映画内「映画制作」の現場を巡る物語。アイロニーに満ち大きな矛盾を抱えながら進行する現場の模様を、時にブラックコメディタッチを交えて語っていく。鑑賞後に、おもしろい!とアイデアに興奮する感情と、空恐ろしく薄気味悪い後味が残る、ある種の問題作だ。
「監督の候補に名前を挙げていただいたことに驚きました。うれしかったです。松坂さん原案のプロットがかなり映像的だったので、そこに現代の身近なAI問題を飛躍させ、重ね合わせました」(齊藤)
この撮影現場で、齊藤は3人をレンズに収めた。PCから指示するAI監督に導かれるまま自身のカラダにタトゥを彫る松坂桃李。コミカルな表情を交えながら自身の役にのめり込み、狂気と正気の境目を「正気の延長」で演じ切っている。

白本彩奈は、悲劇に導かれるヒロインをクールに演じる。冷めているのに母性がある究極の憧れのヒロイン。喜怒哀楽が読み取れない表情に、かえって意志を感じるのはなぜか。

満島真之介が発する「明」や「熱」が勢いを与えてくれる。無骨だけれど美しい戦士の姿に新たなファンが増えそう。レンズに向かって見せる気迫が殺気だっている。

「現場では本作の監督に専念したい気持ちはありながらも、魅力的な御三方を二次元で完結するクリエイティブである写真としての作品づくりも、欲張ってさせていただきました。そこに『何もきこえない。』の物語が埋め込まれているような瞬間を、松坂さん、白本さん、満島さんがくださりました」(齊藤)
斎藤工はAI監督の顔色をうかがう情けない人物を飄々と演じている......。


齊藤工/TAKUMI SAITOH
松坂桃李、満島真之介、白本彩奈ら出演のWOWOWドラマ「月刊 松坂桃李『何もきこえない。』」(オンデマンド配信中)の脚本・監督を担当、自らも出演。出演作の映画『少年と犬』が公開中。Netflix映画『新幹線大爆破』が4月23日配信スタート。ハリウッド映画『ボクがにんげんだったとき/When I was a human』のエグゼクティブプロデューサーも務めている。