【篠原ともえ連載Vol.26】工芸品「すずがみ」でトロフィーをつくる。
TOMOE SHINOHARA MAKING 2024.11.11
審査員を務めたTOKYO MIDTOWN AWARD 2024 にてトロフィーをデザインさせていただきました。
東京ミッドタウンが主催するこのアワードは"「JAPAN VALUE(新しい日本の価値・感性・才能)」を創造・結集し、世界に発信し続ける街"を目指す活動の一環として、今年で17回目を迎えます。私は昨年から審査員を務めたことをきっかけに、この度デザインのオファーをいただきました。
「アイデアは一枚の紙から生まれる」がコンセプト。アイデアが思い浮かんだ時、初めに紙に描かれるシンプルな輪郭。それらは試行錯誤を経て具体的な形へと進化していきます。多くの時間と労力を費やし、思考を磨き続けることで最終的に洗練された完成品に至ります。幾重ものプロセスを経てアイデアが洗練された形となっていく様子を象徴的に表現しました。
北陸復興支援へ想いを込め自分なりにどんな作品を届けようかと考え、かねてより注目していた富山県の工芸品であるすずがみを活用。約400年にわたり鍛金技術を受け継がれてきた、錫100%のすずがみを作りだす職人さんと共に制作しました。
トロフィー制作は、江戸時代から続く鍛金技法によるおりん(仏具)の制作を本家より受け継ぎ、1909年に創業された「シマタニ昇龍工房」にご協力いただきました。富山県高岡市にて先代や職人らと工房を守り、古きものを手当てしながら、新たな創造を手がけている姿に感銘を受けました。工房では職人さんが工具で丁寧に味わいのある質感を仕上げ、その音も心地が良いのです。
完成したトロフィーには、受賞者の方々の名前を刻印しています。参加者の皆さんの熱い思いを感じながら、時間をかけて完成へと導きました。このアワードはデザインそしてアートとジャンルレスにアプローチできることが大きな特徴。今後も、応募者の皆さんには是非今後も個性をデザインに活かし、自信を持って参加していただきたいと願っています。
授賞式では未来を担うデザイナーの皆さんとも対面でき、とても頼もしいデザイナー陣と巡り会えました。これからも当アワードを通じて、自身の個性が光り社会へとつながるクリエーションに出会えることを楽しみにしています。制作したトロフィーそしてデザインコンペ受賞・入選作品は東京ミッドタウンにて展示されています。アイデアにあふれたデザイン能力の結晶を、是非多くの方にご覧いただきたいです。
「TOKYO MIDTOWN AWARD EXHIBITION
DESIGN COMPETITION WINNERS」
期間:2024年11月11日(月)〜2025年9月下旬(予定)
場所:東京ミッドタウン ガレリア3F
展示内容:トロフィー・デザインコンペ受賞および入選作品
https://www.tokyo-midtown.com/jp/award/