高貴な甘口ワインから個性的な辛口まで! 大注目の白ワイン品種「セミヨン」の魅力とは?
知ってちょっとためになるワイン学習帖 2025.09.26
ブドウ品種の特徴がわかると、ワイン選びはグッと楽に! ワインジャーナリストが解説する連載「ワイン学習帳」。
vol.16 セミヨン
栽培面積はロワールのシュナン・ブランとほぼ同じ約1万ha。高品質な白ワインを生み出す品種としては、フランスでシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランに次ぐ位置を占めるのがセミヨンだ。フランスのボルドー地方原産で、ソーテルヌやバルサック地区、隣接するベルジュラック地方のモンバジャック地区などでは、アプリコットやハチミツの豊かな香りも芳しい、甘美な甘口ワインとして醸造される。世界最高のデザートワインとして有名なシャトー・ディケムも、ブレンドの80%がセミヨンだ。フランス以外ではオーストラリアや南アフリカなど新世界にも伝播。甘口ワインの例は少なく、もっぱら辛口ワインに仕立てられ、オーストラリアのハンター・ヴァレーで造られるセミヨンは独自の個性がある。南アにはセミヨン・グリという亜種があり、これから造られるワインもおもしろい。
マーガン・ホワイトラベル・
フォードウィッチ・ヒル・セミヨン 2021年
MARGAN WHITE LABEL
FORDWICH HILL SEMILLON 2021
国・地域:オーストラリア ニュー・サウス・ウェールズ
アルコール度数:12.2%

シドニーから約2時間の距離にあるハンター・ヴァレーは、辛口のセミヨンがお家芸。一般に酸味が穏やかで、粘性のあるテクスチャーが特徴のセミヨンだが、ここでは秋に雨の降る前、酸が落ちないうちにブドウを収穫。ピュアな酸味を持ち、キリッとした辛口に仕上がる。マーガンのこのワインもシトラスのフレーバーが爽やかに香り、酸味もピュアでフレッシュ。果実味は柔らかくバランスがすこぶるよい。
酸味 ●●●●◯
果実味 ●●●◯◯
ミネラル感 ●●●◯◯
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バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド
レゼルヴ・ムートン・カデ・ソーテルヌ
BARON PHILIPPE DE ROTHSCHILD
RESERVE MOUTON CADET SAUTERNES
国・地域:フランス ボルドー
アルコール度数:13%

セミヨンは果皮の薄い品種。そのため貴腐化しやすく、極上の甘口ワインができあがる。貴腐とは、ある特殊な気候条件で発生し、ブドウに付着した菌が、果汁の水分を蒸発させて干しブドウ状態にする作用で、糖分や酸、フレーバーの凝縮した貴腐ブドウとなる。この貴腐化の理想的条件を揃えているのが、ボルドーのソーテルヌ地区。アプリコットやピーチ、ネクタリンの芳醇な香り。高貴な甘味にうっとり。
酸味 ●●●◯◯
果実味 ●●●●●
ミネラル感 ●●◯◯◯

今月の講師
柳 忠之
ワインジャーナリスト
ワイン専門誌記者を経て、1997年に独立。専門誌、ライフスタイル誌等に寄稿。日本ソムリエ協会発行の資格試験向け教本執筆者。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。
*「フィガロジャポン」2025年9月号より抜粋
ワインを自分らしく楽しみ、食卓や日々の生活をより豊かにしたい、そんな知的好奇心の高い人に向けた新しいコミュニティ。知識が身につくワイン講座や試飲イベントの開催、ワインアドバイザーによるコンテンツを日々発信中!