文・写真/坂本きよえ(在ミラノジャーナリスト)
ロックダウン解除から1月ほど経つミラノ。未だにマスクをしながら生活しているものの、少しずつ平常に戻ろうとしている。
今月は「スーパーマーケット」というお題だが、イタリア全土に152店舗を展開する「Esselunga(エッセルンガ)」を紹介したい。こちらは特にミラネーゼに大人気。その理由は彼女たちのライフスタイルが反映された商品構成になっていて、流行りものや便利なものがここに来ると揃うからだ。グルテンフリーのパスタ、ヴィーガン、最近では消毒液のコーナーなど、需要を的確に取り入れて消費者の期待に応えてくれる。エッセルンガは駐車場併設の大型店が多いため、日用品はもちろんのこと、雑誌や電化製品、季節のお祭りグッズ(キリスト教の)までラインナップ。たとえば入学式がある9月が近づくと、学校で使うリュックやガウンなども並ぶ。
ソラーリ通りのエッセルンガ。ソラーリ通りにはフェンディ、ホーガン、ゼニア、ディーゼル、モンクレールなどファッションブランドの会社が多い。近隣で働く人がランチを買い求めに来ることもあって、サラダのセットやサンドウィッチ、ジュースもヘルシーなものを揃えている。
イタリア食材の基本になるパスタ、オリーブオイル、トマトソース、小麦粉、塩などのコーナーは、どこのスーパーにも負けないほど種類が豊富だ。パスタは約200種類、オリーブオイルなら80種ほど。エッセルンガのオリジナルに加えてイタリア各地の物が手に入るから、新商品や人気アイテムが必ず見つかり、値段の幅も広いのがうれしい。
ミラノのソラーリ通りにあるエッセルンガは2階建てで広々。肉、魚、ハム、惣菜コーナーには常時担当者がいて、パックに詰められたものだけでなく、好きな商品を指さし、その場で好みの大きさ形に切ってもらうことができる(肉を角切りにしたり、脂を取り除いてもらったり)。親切な人は調理法まで教えてくれる。そんなカジュアルな感じが私はとても好きで、よく足を運ぶ。日本とイタリアのスーパーの大きな違いは、スーパーのなかでも店の人とすごく会話すること。ワインコーナーではおすすめを教えてくれたりと、おしゃべり好きのイタリア人はスーパーでもその実力を発揮しているのだ。
担当者と話をしながらの買い物が楽しい、鮮魚コーナー。
ミラノの人は本当にこのエッセルンガが大好きで、私の隣人は皆、このスーパーで買い物している。そういえば、パピニアーノ通りにあるエッセルンガには「女性と知り合うために行く」という人もいた(笑)。
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品揃えで人気の秘密のこのスーパー、いま人気なのがブレシャ生まれの人気の菓子職人「エリセンダ」のケーキコーナー(ミラノのケーキブームに火をつけた)。マカロンやマフィン、伝統菓子のティラミスやリコッタケーキ、そしてその季節にしか食べられないものも含めて、毎日30~40種ほどのケーキが並ぶ。スーパーによってはイートインができ、それも人気。ミラノにもカフェコーナー併設の店舗がいくつかある。
詰め合わせやホールなど、大きさもさまざま。
ケーキは8~20ユーロ。いまの季節に人気なのは、フルーツタルトやティラミス。photo : Coutesy of Esselunga
イタリアらしいといえば、こんなものも。イタリアの小学校ではおやつの時間があり、お母さんは毎日、ランチに加えておやつを持たせるのだが大変なよう。そんな消費者の声に応え、ここエッセルンガにはおやつコーナーがある。チーズやハムとクラッカーが入った塩気のあるセットもあれば、パウンドケーキにピーチジュースなどの甘いセットもあり、だいたい20種ほどのパックが並んでいる。まだ学校は再開していないものの、やはり毎日のおやつを考えるのは大変だからか、このコーナーの売れ行きは引き続きいいようだ。
おやつパックはどれも1〜2ユーロ程度。
イタリアのいまを感じるのにぴったりのエッセルンガ、機会があればぜひ訪れてほしい。
texte et photos : KIYOE SAKAMOTO