世界は愉快:スーパーマーケット編 from ロンドン 美食の宝庫、ウェイトローズ&パートナーズ。

世界は愉快 2020.06.17

文・写真/坂本みゆき(在イギリスライター)

イギリスのスーパーはそれぞれの特徴がとてもはっきりとしている。

幅広い価格帯を揃えた店、とにかく安く!を打ち出す店、エコ対策に熱心な店など。だから買い物の内容によって出かける先は変わってくる。

おいしいものを望むならば、向かうのは断然「Waitrose & Partners(ウェイトローズ&パートナーズ)」だ。ここはエリザベス女王とチャールズ皇太子御用達のお印でもあるロイヤル・ワラントを持つスーパーでもある(もちろん、女王や皇太子が自ら買い物に来るわけではないのだが)。扱う食材は幅広く、セレブシェフのヘストン・ブルーメンタールとのコラボフードなどもある。

そのなかで特におすすめしたいのは、この店が数年前にスタートした「No 1」というシリーズ。どこの大手スーパーもオリジナル商品を出していて高級ラインもあるのだけれども、この「No 1」は「The very best of Waitrose & Partners(ウェイトローズ&パートナーズの最上級)」という謳い文句そのままに、品質の高さと洗練さで一歩抜きん出た存在だ。

ハムやチーズなどのデリアイテムから、ワインやスコッチウイスキーなどのアルコール、ケーキやビスケットと幅広く展開。ちょっとお高いのだけれども、どれも確実においしい。

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たとえばデザートやケーキ。これまでイギリスのスーパーに並んでいたものといえば、クリーム詰めすぎのエクレアとかジャムがはみ出しているヴィクトリアスポンジとか、食べて幸せになれるけれども見た目はちょっと残念なものが多かった。

そんななか「No 1」の品は、きめ細かな心配りで作られているのが伝わってくるルックスで、味も素晴らしい。

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「ラズベリーパンナコッタ」は、バニラビーンズが香るパンナコッタと甘酸っぱいラズベリーのコンポートの組み合わせが絶妙。見た目でも英国デザートの鬼門だった「シンプル・イズ・ビューティフル」を克服。

素材の組み合わせの巧みさも目を引く。

たとえばイギリス土産の定番、ショートブレッド。濃厚なバターの香りとともに口の中でほろりと解ける食感に加えて、ラベンダーやコーヒー味など他ではあまり見かけない魅力あるラインナップを揃えている。

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チョコレート生地のショートブレッドにダークチョコをあしらった、新登場の「ベルジャン・ダーク・ディップド・チョコレート・ショートブレッド」。重すぎず甘すぎず、ほろ苦く、これまでのショートブレッドとは一味違う味わい。1916年創業のベーカリー作。

フレーバーティーは「カモミール&ストロベリー」「レモン、ターメリック&ペッパー」など、これまで経験したことのない味のコンビネーションでつい手にとってしまう。

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「ジャスミン・ローズ・ティー」は封を切るとともにバラが香る。リラックスと優雅さを演出する一杯が楽しめる。

「No 1」シリーズのショッピングを満喫した後には、レジ周辺に並ぶオリジナルマガジン『FOOD(フード)やレシピカードのチェックもお忘れなく。

『フード誌は人気シェフのオリジナルレシピや食材の生産地への紀行文など、毎月充実の内容で読み応えがある。写真も美しいのでパラパラと眺めるだけでも楽しい。無料配布のレシピカードは、旬の素材を使った簡単でおいしい食事やデザートを紹介していて見逃せない。

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今月の『フード』はこれからが旬のイチゴが表紙。右上にはさりげなく王室御用達のお印が並ぶ。レシピカードは7、8種類あり、どれを持ち帰るかいつもしばし悩んでしまう。

ロンドンの中心地キングス・クロスやナイツブリッジ、さらにはオックスフォード・ストリートにある系列のデパート「ジョン・ルイス」の地下には大きな店舗があり、旅行で訪れた人も利用しやすいはず。店舗によってはそこでしか扱っていない品もあるので、長年住んでいる私でも通りかかるとつい入ってしまう。

ウェイトローズ&パートナーズを訪れたら、イギリス人は食に無頓着だなんてもう絶対に言えなくなるはずだ。

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texte et photos : MIYUKI SAKAMOTO

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