写真・文/坂本きよえ(在ミラノジャーナリスト)
今年もミラノでは、12月7日に守護聖人アンブロジウスのお祭り「サンタンブロージョ」がある。この日を機に、歌劇場スカラ座もシーズンの開幕となり、クリスマス屋台、通称「オベイオベイ」が次の日曜まで出現、街がいきなりクリスマスムードになるのだ。「オベイオベイ」とはミラノ弁の「oh bej , oh bej」から派生した言葉で、なんと美しい、という意味がある。
2019年のオベイオベイの入り口。
スフォルツェスコ城周辺の屋台の様子。
もともと16世紀から聖アンブロジウスを祀るサンタンブロージョ教会近くに出店していたクリスマスの屋台は、治安などの理由で2006年からスフォルツェスコ城に移動し、25,000m2もの敷地に400以上の店が立ち並ぶようになった。屋台で売られているのは、チーズやサラミ、揚げたてのドーナツ、本に絵画、ゲーム、花にアンティーク、地方の土産物に髪飾りなど多種多様。朝から晩まで24時間開いている店もある。特に、友人や恋人に可愛いギフトを買うのにぴったりなので、みなこのオベイ!オベイ!に足を運ぶのだ。
子どもたちにとっても楽しい屋台。イタリア南部のお菓子、マルザパーネなども売られている。
地方からも出店しにくる人も多いので、ミラノでは売られていないようなハンドメイドのオブジェが手に入ることも。
お城中に点在するこの屋台道を練り歩いた後は、ドゥオーモまで足を運ぶのが、クリスマス気分を盛り上げるミラノっ子の定番コース。
カトリックの国イタリアでクリスマスは本当に大切な祭りで、ミラノの人々は気分をクリスマスに切り替えるために街中のイルミネーションを散策するのが好きだ。絶対みんなが見に行くのが、ドゥオーモのクリスマスツリー、そしてスピーガ通りのイルミネーションだ。この時期、毎年どこのイルミネーションが綺麗だと話題になる。
ドゥオーモのクリスマスツリーは毎年大きさやデザインが変わる。こちらは、2010年の写真。
2020年のドゥオーモのクリスマスツリー。ライトアップされると、台座を囲むツリーとともに幻想的な温かみのある灯りがともる。
いつもモダンで可愛いイルミネーションのスピーガ通りも人気スポット。ドゥオーモの後に立ち寄る人も。
コロナ禍とはいえ、今年も「オベイオベイ」やドゥオーモのイルミネーションも予定どおり開催される。このような世の中だが、カトリックの国イタリアでサンタンブロージョもクリスマスも、平和の象徴のような本当に大切な祭り。ずっと変わらず続いていってほしい。
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photos et texte : KIYOE SAKAMOTO