文・写真/鄭慈卿 (在ソウルコーディネーター)
ソウルといえば、渋滞。ラッシュアワーの時間はいうまでもなく、いつでも混んでいると言っても過言ではない。国民2人あたりに車1台を所有しているというが、ソウルと首都圏を合わせた車の登録台数は全国の1/3以上を超える。ソウルでは公共交通システムが整っていても、通勤も含め外出時は車で移動する人が多く典型的なクルマ社会となっている。

駐停車禁止にさらに牽引マークが付いている標識は、小学校や幼稚園がある子ども保護区域などにある。目立つよう、黄色にするなど色にも工夫が。
だが、住宅街や古い建物が集まる場所は駐車事情が厳しい。指定駐車制度があるため区役所に登録すれば住宅のすぐ近くに駐車スペースを得ることはできるが、ビジターの場合は駐車戦争があちこちで勃発しているのが実情だ。
駐車禁止の公的な標識がある大通り沿いや繁華街ではだいたい守られていても、繁華街から少し路地に入ると身勝手に駐車している車が目につく。毎日のように自分の家や店の前に駐車されている車を見る人にとってはそのストレスは並大抵のものではなく、喧嘩に発展するほど、駐車戦争がなかなか解決されない区域もある。
そこで、公的な標識以外にも、個人が用意する駐車禁止の看板や標識が多く見られる。なかには若干脅威的な……見苦しい標識もあるが、最近はウィットがあって見栄えがよく、アイデアにあふれたものも増えている。その方がドライバーの反感をかわず、かえって協力してもらえるので効果が高いようだ。

花屋さんならではのアイデア、植木鉢を飾った駐車禁止のお願い。photo:@ianthe.flower
消防用道路や消火栓周辺で駐停車禁止をアピールするため、消防士たちがSNSを通じてリレーチャレンジをする姿が話題になっているが、それも例のひとつ。もともと消防士という職業に対する韓国人の好感度は高い方だが、ふだん見られないお茶目なポーズをとったアピール方法ならグッと親近感もわく。今後さらにソウルの交通問題が愉快に解決し、進化していくよう期待したい。

SNSのリレーキャンペーンに参加している消防士。手でXを、足ではPの形をして、ノーパーキングを表現している姿が可愛い。photo:京畿道消防災難本部

ちなみに韓国でも消火栓の蓋のデザインはおもしろい。こんなイラストのものも。
texte et photos : JA-KYUNG JUNG