文/長谷川安曇(在ニューヨークライター)
セントラルパークでのクラシックコンサートや、シェイクスピア上演、屋外映画など夏のイベントが充実しているニューヨーク。冬の寒さが厳しい分、誰もがニューヨークの夏を少しでも謳歌しようと、多くのイベントに出かける。最近浸透してきたのが、ガバナーズアイランドでの夏フェスだ。
ガバナーズアイランド行きのフェリーは、ロウアーマンハッタンや土日はブルックリンブリッジパークからも出航している。乗船して、わずか約10分。毎年5月から10月までの夏季限定でオープンする小さな島には、週末には多くの人が訪れる。ニューヨーカーは、ここでピクニックやサイクリングをするのがお楽しみ。島から自由の女神やマンハッタンも一望できるので、仕事で疲れている時に訪れると、「おお、私はこんなに大きい街で頑張っているのだ」と思えて勇気づけられたりもする。

ガバナーズアイランドの入り口。 島までの道中も、さまざまな景色が見られて楽しい。photo: Omi Tanaka

マンハッタンが一望できる丘、ザ・ヒルズは、廃材を使用して作られた人工の丘。完成まで10年の歳月が費やされた。photo: Omi Tanaka
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そもそも、ニューヨークハーバーに浮かぶガバナーズアイランドは、独立戦争時に防衛拠点となり、1960年代まで陸軍の駐屯地があったところだ。軍事基地としての役割が終了すると、再開発の話が持ち上がり、約200年もの間一般にはオープンされていなかった島が、ようやく2005年に開放された。徐々に認知度が上がり、ここ数年の間で人気が定着したようだ。毎年、パブリックアートや無料のアートショー、野外映画にミュージックフェスティバルなど、多くのイベントが開催されるので、週末はニューヨーカーで混雑するようになった。
なかでも人気は、9月に島内のノーランパークの芝生で開催が決定している「ライト・オブ・サマー・ミュージック・フェスティバル」。アウトドアでクラシック音楽を誰でも無料で楽しめるイベントは、今年でちょうど10周年。ハンモックや滑り台なども設置されるため、子どものいる家族連れにも好評だ。

パンデミックで以前のように遠出ができなくなっているからこそ、ニューヨーカーの息抜きや気分転換にぴったりのこのフェス、今年はいっそう盛り上がるだろう。

歴史を感じさせる建物。多くのアート展覧会で利用される。

パブリックアートやインスタレーションアートがいたるところに。photo: Omi Tanaka
Photography & text: Azumi Hasegawa