文/鄭慈卿 (在ソウルコーディネーター)
ステイホーム中の暮らしの充実を楽しむ「チプコク族」という新造語ができたほど、コロナ禍でライフスタイルが変化した結果、韓国では掃除が新しい趣味としてトレンド入り。家で過ごす時間が長くなった分、より快適で清潔な空間がこれまで以上に好まれるようになり、掃除が趣味になってしまった(?)と言う人が多いのだ。前年比183%という驚異的な数値で売り上げを伸ばした掃除機もあり、掃除や掃除道具は、SNSでも大人気のキーワードである。
ますます進化しているAI家電などテクノロジー商品もあるが、コンパクトなデザインのアナログ商品も注目されている。その背景には、モノは最小限に減らすミニマルライフのトレンドと、場所を取らないアイテムが好まれるひとり暮らし世帯の増加だ。韓国では、親からの経済的な独立を優先する若者が急速に増えたうえ、未婚率と離婚率が増加していること、さらに高齢化社会であることから、いまや人口の1/4がひとり暮らし世帯。それにともないペットと暮らす人も増えていて、ペットを飼う人向けの掃除道具の需要も増えているという。
たとえば、最近定着しているのがオールインワンほうきと呼ばれるシリコン製の掃除道具。なかでも、インターネットのポータルサイト「NAVER」の人気ブランドランキング1位になったことがあり、ユーザーの口コミ評価が圧倒的に高いのが、ほうき、スクレーパー、ワイパー3つの機能を備える「スリージャルビ」だ。実はネット通販で日本でも購入できる。
アナログな掃除道具への回帰といえば、韓国の伝統的なほうきの人気も再燃している。棕櫚製のほうきは、職人による伝統工芸品もあるが、さまざまなサイズがあり韓国らしい色使いの糸でアクセントがついているのでインテリア小物としても好まれている。いまでは、手作りキットまで販売されているほど。趣味としての韓国の掃除ブームは、道具をそろえる楽しみにも選択肢が広がっているといえそうだ。
text: JA-KYUNG JUNG