掃除編 from ニューヨーク コレクターまで⁉ ニューヨーカーを魅了するZokin

世界は愉快 2021.09.20

長谷川安曇

アメリカではパンデミックによりスプレータイプの消毒液が非常によく売れているが、ニューヨークでじわじわと人気上昇中の掃除道具がなんと、雑巾だ。

サステイナブルなものに対する人々の意識が高まっている中、使い古しのタオルや布でアップサイクルできるという雑巾は理にかなう。もともとペーパータオルを湯水のように使い、環境に優しくない方法で拭き掃除をするニューヨーカーが多かったが、環境破壊が叫ばれるいま、もはやそういう人々は主流ではない。一般家庭にある不要になった布を利用できるだけでなく、何度でも洗って使える雑巾に注目が集まっている。

ちなみに、アメリカでは「Zokin」と呼ばれ、YouTubeでは「Zokinの作り方」に関する動画もアップされているし、手作りのクラフトアイテムを売買できるオンラインコミュニティサイトEtsyでも、Zokinが多数出品されている。

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ぼろぼろになった布団や着物、風呂敷を切って再利用したのが本来の雑巾。日本の東北地方からアメリカにやってきた雑巾には、100年も前の生地が使われているという。各35ドル photo: KOFU

特に古い日本の布を使った味のあるZokinは、シンプルで美しく、テキスタイルデザインも好評を得ているようだ。日本製の伝統的な染めや織り、針仕事が施された生地を使って、欧米の顧客向けに雑貨やアクセサリーを販売するKOFUのオーナー、遠山清香さんに話を聞いた。

KOFUでも雑巾は人気アイテムで、特に小さなサイズのものは、本来の雑巾としての役割ではなくインテリア雑貨として人気があるという。「純粋にコレクションとして集めたり、テーブルクロスやプレースマットとして使う方もいらっしゃいます。テキスタイル好きの方を中心に、「Boro(ボロ)」や「Sashiko(刺し子)」と並んで、「Zokin」もポピュラーな言葉になってきていると思います」。

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素朴な感じの生地と縫い目が美しい。ヴィンテージの布を使った「Zokin」各45ドル。メインの客層は「生活用品にこだわりを持っていて、デザインとプロダクトのストーリーを楽しむ人」と遠山さん。

床や棚を「掃く」という習慣があまりないニューヨークだが、雑巾ブームの到来とともに、掃き掃除も定着するかもしれない。あの雑巾がけ独特の爽快感を求めて、久しぶりに私も雑巾を手にしたくなった。

text: Azumi Hasegawa

長谷川安曇

東京出身、2004年からニューヨーク在住。フリーのライターとして活動しながら、映像制作にも携わり、キャンペーンやミュージックビデオのプロデュースとフィルムメーカーとしても活動する。www.azumihasegawa.com

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