フードロス編 from ロサンゼルス 道端の雑草や公園の木の実も食べる、フォレッジングとは。

世界は愉快 2021.10.25

稲石千奈美

温暖な天候の恩恵で、あちこちに果樹を見かけるのはカリフォルニアらしい光景。ディスニーランドだって、元はオレンジ畑だった。昔の名残もあり、ロサンゼルスの一般住宅の庭にはオレンジ、レモン、ライムなど柑橘系の木に加え、アボカド、イチジク、ビワ、ザクロなども育てられていて、毎年たわわに実をつける。とはいえ収穫されずに萎んでしまったり、路上で腐敗する果実も多く、その姿はフードロスの現状を考えると、ことさら傷心するものだ。

シルバーレイクで10年来人気のレストラン、フォレッジでは、近所の裏庭に実ったオレンジやアボカドなどの果実や、食べきれないほど収穫した家庭菜園の余剰野菜、ハーブなどを引き取ってくれる。持ち込めばレストランでの支払いに活用できるポイントをもらえる仕組みだ。地域密着型で地元の収穫物を取り入れたメニューは季節感もおいしさも満点。パンデミックの影響で最近はテイクアウトのみの営業だが、以前は店内の黒板に「いま欲しいもの」「持ち込まれた野菜、くだもの」などがリストアップされていて、注文待ちの時間も楽しかったものだ。

 

 

自宅で収穫したルバーブを持ち込む顧客。この日はキムチと物々交換。ルバーブで何ができるかお楽しみ!

夏にLAの裏庭で収穫できたイチジク、桃とバジルはブッラータチーズと一緒にサラダ仕立てに。

地元の庭で収穫できる季節のおいしいものをきっかけに、経済的格差関係なく多くの人がおいしくヘルシーな食生活を経験できるようにと、地元の人々と一緒に小さな改革としてお店を始めたフォレッジ。だが、この2年間で“フォレッジング”にいっそう関心が高まっている背景は複雑だ。

パンデミックで食に対する意識が変わってきたこと、経済的に困窮する世帯の増加、そしてブラック・ライブズ・マターも関係している。かつての奴隷制度下のアメリカでは、自由のない厳しい生活の中少しでも食生活を豊かにするために、黒人の間で道端の雑草や木の実もおいしく食べるフォレッジングのノウハウを蓄積し、実践していた歴史がある。そのことから、フォレッジングの伝統を再認識し、いまに継承する動きが広がっているのだ。

TikTokで300万人のフォロワーを持つチャーミングな20代のアレクシス・ニコル・ネルソンは、野生の木の実や雑草の見分け方、調理法などを紹介している。マイタケを見つけたり、野生のプラムでデザートを作る動画はいかにも楽しそうで、自分でも外に出かけて何が見つかるか勇気を出してトライしてみたくなる。

@alexisnikole

ACORN BACON ##foraging ##acornbacon

♬ original sound - Alexis Nikole

拾ったドングリでベーコンを作る動画。ドングリの見分け方から意外なベーコン調理法まで、愉快に丁寧に紹介。

@alexisnikole

Bones Day Burdock ##nobones @jongraz

♬ original sound - Alexis Nikole

近所のゴボウを掘りに出かける。ゴボウとナスの味噌炒めになるまでの、アレクシスのフォレッジング冒険がたまらなくおもしろい。

稲石千奈美

在LAカルチャーコレスポンデント。多様性みなぎる都会とゆるりとした自然が当然のように日常で交差するシティ・オブ・エンジェルスがたまらなく好き。アーティストのアトリエからNASA研究室まで、ジャーナリストの特権ありきで見聞するストーリーをエディトリアルやドキュメンタリーで共有できることを幸せと思い続けている。

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