フードロス編 fromコペンハーゲン 『みにくいアヒルの子』が由来、デンマークで人気のサブスク。

世界は愉快 2021.11.03

文/冨田千恵子(在コペンハーゲンライター)
 
デンマーク環境保護庁が2021年7月に発表した調査によると、今年1年間の食品廃棄物の総量約121万4000トンのうち、約81万4000トンが食べられるのに廃棄される「フードロス」と見込まれている。廃棄量の65%が無駄になっているという驚きの数字は年々増える傾向にあり、他の先進国同様、その削減に向けて、さまざまな試みがされ、そこからビジネスに発展することもある。
 
 たとえば、コペンハーゲン商科大学大学院の「サステイナブル起業コース」でともに学んだ、ペトラ・カゥクワとカロリン・シーマーが2018年に立ち上げた「イート・グリム」(「みにくいものを食べよう」の意味)。食べられるのに廃棄処分になるオーガニック野菜や果物を農家から直接に仕入れ、希望者に販売する仲介業だ。
 
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曲がったキュウリ、傷のあるトマトなどが詰まった、イート・グリムのボックス。2~3kgの少量ボックス、もしくは8~10kgのファミリータイプなどから選び、週1で自宅に届くシステム。photo: Eat Grim
 
「農産物の1/3は、形や見た目が悪くて市場基準に満たなかったり、生産過剰で廃棄されます。そういう野菜や果物を生かしたかったのです」と、CEOのペトラは話す。きっかけは、学院生時代のカリキュラムの一環で訪れたオーガニック農場での体験。おいしそうなのに、色や形が悪いくだものや野菜が廃棄用ボックスに大量に仕分けされているのを見たことからだった。「アンデルセン童話の『みにくいアヒルの子』のようでした。それが社名の由来にもなりました。」と、CMOのカロリン。
 
Founders Carolin (left) and Petra (right) with Farmer Mar from Svanholm (middle).jpg
サプライヤーのひとり、オーガニック農家スヴェンホルムのマーさんを囲む、ファウンダーのカロリン(写真左)とペトラ(右)。スヴェンホルムはコペンハーゲンのノーマなど、ミュシュラン星付きレストランにも納めている。photo: Eat Grim
 
現在、サブスク数は約3000。農家、イート・グリム、購入者というシンプルな流通で中間業者が入らないため、低価格で提供できるからか、会員は学生や若いファミリーが中心だが、最近はサステイナブルへの意識が高い50代の親世代にもクチコミで広がっているという。
 
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カップルやひとり暮らしに人気の少量ボックス、冬野菜の一例。価格は95デンマーククローネ(約¥1,800)。物価の高いデンマークではお買い得。photo: Eat Grim
 
イート・グリムのインスタグラムに投稿される、形がユニークな野菜や果物、季節感のあるレシピ、食のインフルエンサーや人気シェフとのコラボなど楽しいビジュアルが多いのも人気の秘密だ。
 
楽しみながらフードロス削減に貢献できるビジネスは、今後も増えていくに違いない。
 
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スーパーでは見かけたことがない、みにくい野菜や果物に注目した画像やレシピが満載のインスタ(@eatgrim)も見逃せない。 photo: Eat Grim
 

text: Chieko Tomita

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