冬の楽しみ編 from ロサンゼルス ダサいが勝ち、年末気分を盛り上げるアグリーセーター。

世界は愉快 2021.11.17

稲石千奈美

アメリカのクリスマス(&年末のお祝い)準備開始は年々前倒しになっていて、今年のハロウィン当日の朝にお配り用菓子を買いに行ったら、店内はすでに一変してクリスマス。ハロウィン菓子袋は見つからず、つい立ち止まってしまったのが今年も強烈な存在感のクリスマス向けのアグリー(=醜い)セーターだ。

いつからかアメリカ全土が湧くポップカルチャー現象となっているアグリーセーターは、12月のホリデーモードの必須アイテム。ブームの始まりは、クリスマスにプレゼントされてもダサ過ぎて着ることができないおばさんからの手編みセーターを、あえて自分も笑えるジョークとして着始めたいう説や、カナダの若者がアグリーセータークリスマスパーティで盛り上がったのが始まりという説もある。

普段ではありえないド派手なデザインやデコレーションが施されたアグリーなクリスマスをテーマにしたセーターは、いまとなってはいかにダサいか、どこまで外せるか、ユーモアと懐かしいほっこり感、ダサ可愛いセンスの絶妙なバランスが勝負どころ。さらには、クリスマスにまつわる映画や音楽、文化、時事現象などをセーターの模様に編み込んでレベルアップするなど、季節行事を愉快に楽しむのだ。

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いつもはおしゃれなセレブやインフルエンサーもアグリーセーターに夢中になり、ビヨンセやケイティ・ペリー、リース・ウィザースプーン、ジャスティン・ビーバーなども堂々とダサいアグリーセーターを着こなしている。そういえば、2年前に鑑賞したクラシック音楽のリサイタルでも、ブラックドレスの代わりにアグリーセーター姿のチェロ奏者が3名揃って登場し、季節を愛でるという、大胆なユーモアのセンスが微笑ましかった。

「子どもたちと一緒にお菓子の家を作るのが毎年この時期の楽しみ!」とコメント入りで投稿したリース・ウィザースプーン。(2020年12月)
 

双子のように似ている美しい母娘は、アグリーセーターもペアルックで着こなす。

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セーターは近所のショップやモールなどでも購入できるが、ティプシー・エルブス(1)やアグリー・クリスマスセーター(2)などあらゆるアグリーなデザインを揃えた専門のECサイトも多く、大型セールがある感謝祭翌日のブラックフライデーには、アグリーセーターは売り切れが続出する。誰よりも早く最強のダサさを入手するには、12月を待たずに先手を打つのが必須らしい。

ネットショップではオリジナルデザインのセーターを作ることもできるが、何をアグリーの定義とするかは要注意。親戚のおじさんの顔写真を転写して「この世でいちばんアグリーなセーターができました」とオリジナルデザインにしたら、登場した本人に笑ってもらえず、クリスマスの集まりが気まずい雰囲気になってしまったという話を聞いたことがある。

コロナ規制でひっそりとした年末だった昨年は、ズームでのパーティをアグリーセーターが盛り上げてくれた。外出や対面でのパーティなども徐々に戻りつつある今年は、みなが集まって恒例のアグリーセーターパーティも復活するはず。

アグリーセーター着用が条件のオフィスやホームパーティでは、ベストアグリーセーター賞を競うDIYや手編みのセーターもあり、パーティやイベントにみんなが楽しめるテーマを設けて盛り上げるアメリカ人のあっぱれなエンタテイメント魂が炸裂する。12月になったら、どのアグリーセーターを着ようかと選んだり、趣向を凝らしたアグリーセーター姿の人々をウォッチして、年末のホリデーシーズンを愉快に過ごそう。
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211113-la-01.jpg親子でお揃いのアグリーセーターに、クリスマスカラーのスニーカー。映画監督のお父さん、チャールズ・ストーン三世は「パパエルフ(小人)」、6歳の娘は「エルフ組」だ。

(1)Tipsy Elves ティプシーエルブス
大学時代にいつもしていたおもしろいコスプレアイテム探しをヒントに「人生を楽しんでもらうためのビジネス」として起業した元弁護士と歯科医が運営するTipsy Elvesはアグリーセーターやハロウィン仮装衣装などがメイン。「ちょっと酔っ払ったサンタの小人」というビジネス名までおもしろい。こちらのアグリーセーターには定評がある。
www.tipsyelves.com/ugly-christmas-sweaters

(2)Ugly Christmas Sweater
自分のデザインや写真をアップしたり、名前入りなど、オリジナルのアグリーセーターが手軽に注文できるサイト。 
www.uglychristmassweater.com
 

稲石千奈美

在LAカルチャーコレスポンデント。多様性みなぎる都会とゆるりとした自然が当然のように日常で交差するシティ・オブ・エンジェルスがたまらなく好き。アーティストのアトリエからNASA研究室まで、ジャーナリストの特権ありきで見聞するストーリーをエディトリアルやドキュメンタリーで共有できることを幸せと思い続けている。

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