冬の楽しみ編 from ソウル ユネスコ人類無形文化遺産キムジャンの季節。

世界は愉快 2021.11.19

文/鄭慈卿 (在ソウルコーディネーター)

韓国の冬支度と言えば、誰もが迷わず「キムジャン」と答えるだろう。冬の間に食べる量のキムチを一度にたくさん漬ける習慣のことだ。立冬(2021年は11月7日)前後の5日間に行なうとおいしいキムチになると言われているが、いまはだいたい11月半ばから12月初め頃までに行われている。2013年にユネスコ人類無形文化遺産に登録された文化で、特定の民族や地域に残るほかの文化遺産とは異なり、韓国の全国民が継承していることも特徴だ。

キムチは、高麗時代(918~1392年)の文献にも言及があるほど長い歴史を持つ発酵食品で、いわずと知れた韓国人の食卓に欠かせない食べ物。野菜を長期保存するために、塩、醤油、酢、香辛料などを混ぜて新しい味と香りが加えられ、いまも愛されるあのキムチが誕生した。

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キムジャンでもっとも手間がかかるのは、漬ける前日に白菜を洗い、塩で漬けておく下こしらえ。最近は、塩漬け済みの白菜を購入することもできる。photo: World Institute of Kimchi

真冬に食べるキムジャンキムチは、5度前後の低温で熟成させて保存するからこそ、味が変わらずおいしい。昔は土を掘ってキムチを漬けた甕を埋め、藁をかぶせて保管したが、いまはキムチ専用の冷蔵庫がその役割を果たしていて、「一世帯にふたつ冷蔵庫がある」文化を切り開いた。韓国農村経済研究所の2021年の統計によると、キムジャンの時には4人家族で平均22株の白菜を漬けるが、キムジャンキムチの63.3%がいまも完全自家製だという。

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乳酸菌やカプサイシン、食物繊維などバランスの取れた栄養成分を含む発酵食品としてアメリカやヨーロッパでも広く知られ、大人気のキムチ。立冬の時期に一度にたくさんのキムチを漬けるキムジャンは、単なる食べ物としてのキムチという意味ではなく、漬ける、味わう、その習慣を継承することを意味する食文化。キムジャンキムチとボッサム(茹で豚肉)は最高の相性なので、キムジャンの日(この冬のキムチを漬けた日)は家で豚肉を煮るのが定番。photo: World Institute of Kimchi

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白菜のキムチの起源は、トンチミキムチ(唐辛子が入ってない水キムチ)。唐辛子や白菜がまだなかった高麗時代には大根を塩漬けしたトンチミが作られていた。photo: World Institute of Kimchi

いまは定番の白菜以外の野菜を使ったり、塩辛を入れる人もいて、家庭によってレシピが少しずつ異なる。韓国のキムジャン文化もさらに多様なスタイルへと進化するのではないだろうか。

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食品会社が運営する仁寺洞(インサドン)のミュージアムキムチカンでは、外国人も参加できるキムチ漬けの体験プログラムもある。(現在はコロナ禍で中止)photo:Museum Kimchikan

text: Ja-Kyung Jung

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