いま注目のローカルエリア from コペンハーゲン 「クールな地区リスト2021」で世界1位、ノアブロのいち押しストリート。
世界は愉快 2022.08.12
冨田千恵子
コペンハーゲン中心部から北へ自転車で10分ほどで着くノアブロは、世界60ヶ国以上からの住民で成り立つ、まさにダイバーシティエリア。レストラン、カフェ、ショップは、コペンハーゲンの街の中心部にはない、国際色豊かな雰囲気がある。
こうしたノアブロの人種のるつぼを象徴するのが、スーパーキレン(Superkilen)。建築家のビヤルケ•インゲルス率いるBIG建築事務所とアーティスト集団Superflexが、2012年に完成させた公園で、住民たちの出身国からの遊具を設置したことで有名になり、世界中から建築やデザイン好きがこの地へとやってくる。
スーパーキレンは、赤、黒、グリーンの3つのゾーンに分かれているが、ここはスポーツ用の「赤の広場」。ロシア語や中国語の標識がポップ。 photography: Giuseppe Liverino - Copenhagen Media Center
英国発のカルチャーマガジン「タイムアウト」が毎年、旅好きな読者約27,000人へのアンケートで作る「世界のクールな地区リスト(World’s Coolest Neighbourhoods)」の2021年版で、ノアブロが堂々1位を獲得し、さらに注目度が高まっている。広いノアブロゆえ、おすすめスポットは枚挙にいとまがないが、今回は個性的な店が並ぶイヤースボーゲーデ通りをご紹介。
場所は、メトロのノアブロスロンデール駅(Nørrebros Runddel)から徒歩で5分ほど。童話作家アンデルセンが眠るアシスタンス墓地の出口にも近い。2007年にサードウェイブコーヒーのパイオニア、コーヒーコレクティブの1号店ができ、その後ミュシュラン1ツ星レストランができるなど、瞬く間に活性化した。いまも若いオーナーによるクラフトショップ、カフェ、ワインショップ、中古レコード店、ヴィンテージショップなどの個人商店が並ぶ。
コーヒーコレクティブの店内。2007年に起業した場所から、同じ通りの広い店舗に移転。夏限定のコーヒーアイスがおすすめ。photography: ChrisTonnesen - Copenhagen Media Center
たとえば、ハンドメイドジュエリー、レディーフィンガーズは、4人のジュエリーデザイナーの共同アトリエ。少し先には、彫刻的なランプシェード店、フラコデザインがあるが、どちらも作業風景を見学できる。また、手作りチョコレートのローチョコレート、ノーマ出身のシェフ、クリスチャン・バウマンのファインダイニングレストラン・コアンは、遠方からでもわざわざ出かけて味わいたい店だ。
クラフトジュエリーのアトリエ、レディーフィンガーズの外観。小さな店舗のニットショップ、カフェなどが並ぶ。photography: Chieko Tomita
彫刻的なランプシェードのアトリエショップ、フラコデザインの内観。大きさも形もさまざまで見入ってしまうフラコデザインワークショップ/ショップ。photography: Chieko Tomita
カラフルな外観の小さなデリ。ワインやチーズ、オリーブなど、イタリアやギリシャから直輸入している ノアブロ・コロニアル 。photography: Chieko Tomita
その他にも、ポリッジ専門店のグロー・ポリッジ・ラブ やデンマーク唯一のハチミツ専門店 ホニング・カトリーネ・クリンケン など、一軒づつゆっくりと回って、オーナーとの会話が楽しめるのも、この街の魅力なのかもしれない。
ハチミツ好きの料理研究家がオーナーのハチミツ専門店。国内外のハチミツやあらゆるハチミツグッズが店舗内に置かれているホニング・カトリーネ・クリンケン。photography: Chieko Tomita
texte:CHIEKO TOMITA

冨田千恵子
コーディネーター兼ライター。デンマーク在住30年以上。デザイン、建築、アート、街並み観察、犬ネタが得意なジャンル。音楽はラヴェルが好きな北欧のフランスファン。
Instagram: @chi.tomita photography: Kazue Ishiyama