世界のお祭り from LA 6月は街中がレインボー。多様なジェンダーを、LAらしく華やかにお祝い。

世界は愉快 2023.04.25

稲石千奈美

街の彩りが、春を祝うパステルから元気が鼓舞されるようなレインボーに変わっていくのは、毎年恒例のプライド月間がもうすぐやってくるという兆し。プライド月間が祝うのはLGBTQIA+コミュニティで、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、ジェンダークイア、インターセックス、エイセクシャル、カテゴリーにはまらない「+」を含む人々とサポーターたちが街をあげて盛り上げる。

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photography: Wes and Alex Photography

毎年恒例のLAプライド月間、今年はダウンタウン近くの公園で開催される2日間のミュージックフェスのプライド・イン・ザ・パーク、ハリウッド通りに15万人が艶やかな衣装で繰り出すプライドパレード、MLBドジャーズ主催のLGBTQ+野球観戦ナイトを筆頭に、地元の企業やレストラン、文化施設などでも支援イベントや特別メニュー、限定デザイン商品などが予定されている。

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毎年ハリウッド大通りがレインボーに染まる大パレード。仮装あり、バイクあり、団結したメッセージありで、参加もよし、見物もよし。お祭り気分が高揚する。photography: Wes and Alex Photography

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コムキャスト・NBCユニバーサルは企業全体で例年プライド月間を支援してきた。「プライドはユニバーサル。ベター トゥギャザー」の幕は多様化を受け入れてこそベターという力強いメッセージだ。photography: Wes and Alex Photography

6月9日と10日に開催されるプライド・イン・ザ・パークフェス、今年のヘッドライナーはマライア・キャリーとメーガン・ジー・スタリオン。ステージのみならず、観客ウォッチも尋常ならざるハイレベルなのが楽しみだ。

現在でこそ楽しいイベント満載のプライド月間だが、その歴史は1969年6月に起きたNYのゲイバー、ストーンウォールでの取締り事件の1周年記念としてNY、LA、シカゴで始まったLGBT+人権平等のためのパレードに始まり、6月はLGBT+を誇りに、コミュニティをあげて理解し合い、祝うようになった。LGBTQIA+コミュニティの存在を謳歌し、権利確立のために一丸となる機会でもある。

LGBTQIA+にはもちろんいろんなタイプの人がいるのだが、大胆なファッションやドラマティックなヘアメイク、とことんパーティを楽しむ気質が目立つコミュニティだから、関連イベントも百花繚乱、尋常ならぬ盛り上がりとなるので、いざ参加するならそのつもりで臨む。

カリフォルニアの都市部ではLGBTIA+のアイデンティも日常になり、なんの隔たりもないと感じる一方で、実は潜在的な社会的差別も存在する。全国的にはもっと明確なアンチLGBTQAI+の動きがある。ゲイカップルのウェディングケーキ注文を拒否するケーキ屋、学校でのいじめ、トランスジェンダー医療やドラァグクイーンショーの違法化など身近な問題から州による立法までエスカレートしている。社会的にも精神的にも抑圧や差別を経験し、時には恐怖感にかられることさえあるコミュニティにとって、初夏の6月の訪れとともにみんなで連帯して、カラフルに、弾けるようにお祝いするのが悦びなのだ。

text: Chinami Inaishi

稲石千奈美

在LAカルチャーコレスポンデント。多様性みなぎる都会とゆるりとした自然が当然のように日常で交差するシティ・オブ・エンジェルスがたまらなく好き。アーティストのアトリエからNASA研究室まで、ジャーナリストの特権ありきで見聞するストーリーをエディトリアルやドキュメンタリーで共有できることを幸せと思い続けている。

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