ボディ ポジティブの在り方 スウェーデンのブランド、リンデックスのボディポジティブとは?

世界は愉快 2023.07.25

神咲子

Lindex (リンデックス)は1954年にふたりのスウェーデン人がランジェリーブティックから始めたブランドだ。女性服、子ども服、マタニティ服、ランジェリー、コスメを主にしたラインナップでスウェーデンを拠点にヨーロッパ内18都市、全440のブティックを展開している。

会社のポリシーのひとつとして女性支援活動をしているが、その中の「Reinvent the Model」(リインヴェント・ザ・モデル、モデル再考)の考え方がとても興味深い。

リンデックスが行ったアンケートの結果、4人中3人はファッション界の美学(特に体型)に求められる理想像からくるプレッシャーでネガティブな体験をしているという。身長が高く、スレンダーなのがファッションモデルとしての前提条件なのは今に始まったことではないが、その理想像が一般人にもまるで当たり前のように浸透している影響は多大だ。その結果、拒食症や過食症など様々な意味で悪影響を及ぼし、人体そして精神的にも被害が出るほどにまでなっている。
リンデックスではそういう考えを変えよう、一人ひとり違って当たり前、ステレオタイプではなくそれぞれの個性が出る理想像をファッション界にももたらそうという「Reinvent the Model」の考ええ方を打ち出している。

 

 

上記の写真の様に、特にランジェリー部門では年齢もそうだが、サイズが違う一般の人たちをモデルとして起用している。

2014年に始めたキャンペーンでは、実際にリンデックスで働いている社員の中からランジェリーモデルを募集し、Passformarna(パスフォルマルナ)というブラジャーのコレクションを自社社員をモデルとして起用し発表した。
成功を収めたのは売り上げだけではなく、顧客から自分たちのサイズに合うブラジャーが以前より簡単に見つけられた、などかなり好評だった。またモデルとして働いた社員は楽しくて刺激になり、他の国のリンデックス社員とも交流することができ、わずかな時間だが「モデル」としてラグジュアリーな時間を過ごせたとの声が多数あがり、社員の鼓舞にも繋がったという。

 

 

顧客自身のサイズのイメージに合い、親近感が湧いたことが社員のモデル起用キャンペーンを成功に導いた。

乳がん支援も活発だ。2010年のアメリカ人デザイナー、Narciso Rodriguezとのコラボレーション「Pink Collection」では、売り上げの10%をガン財団の乳がん研究部門に寄付をし、それ以降も乳がん患者のモデルを起用したりと何らかの形で協力をしている。

 

 

 

 

 

 

有名なデザイナーズブランドを初めとするほとんどの洋服は値段もそうだが、どちらかと言えばサイズの違いにがっかりすることが多い。私的には(身長158cm)スカートやパンツの丈の長さが半端なく違う。かといって短い丈サイズにすると今度はお腹と腰回りがつかえて入らないと現状はかなり厳しい。だがリンデックスを初めスウェーデンでは「自分の身体を好きになろう!」運動が色々と出回っていることもあり、ボディポジティブな人が多いように見受けられる。どんな体型でも堂々と闊歩している人を見ると「いいな〜」と思うのは良い影響だ。

 

 

text: Sakiko Jin

神咲子

在スウェーデンライター。コーディネート業も行うが、本業はレストラン業だった。そして50歳を過ぎてから、鉄道の電車の運転手に。スウェーデンの北部ウメオ市とスンズヴァル市を運転する日々を送る。

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