Queen of shitty robot の異名を持つSimone Giertz (シモーネ・ギエルツ)をご存知だろうか? その名の通り使えないロボットはたまたマシンを作る女王と呼ばれるスウェーデン人女性だ。一番最初は2015年、歯磨きヘルメットマシンを作成したが、ものの見事に歯磨きをしてくれない(笑)。
だがその出来の悪さが受けたのか、ネットに挙げるなり一挙に5万人に視聴されたのだ。その後は唇からかなり離れた位置で塗るメイクアップできないリップスティックロボットとか
半分以上はボールから出て溢れてしまい、シリアルや牛乳をきちんと注ぐことができない朝食マシンとか
続け様にかなりの人々を楽しませ、笑いを誘ってきた。
その後、アメリカのテレビ番組「Conan O´Brien」、「Ellen DeGeneres」のトークショウなどでさらなる注目を集め、2018年にはTED-talkにて「無意味なものを作るべき理由」をテーマに講演までするという輝かしい功績を残している。
100万人を超えるYouTubeチャンネル登録者を持つシモーネはスターユーチューバーだけではなく、インターネットの寵児でもある。当初のアイデアは日常の何気ない問題を変わった方法で解決し、それを動画にするという事だった。トップの成績を持った学生時代時のプレッシャーから大学をドロップアウトする羽目に。また知識のある女性は槍玉に挙げられる事が多いため、自分なりのそして自分に合った方法で且つネット上で女性として生き抜くためのストラテジーにもなったのがまさに「完璧じゃない、出来損ない」のマシンを作る事だった。(TED-talkでも触れているので是非視聴してほしい)
脳腫瘍を患い2019年には手術をしてその後放射線治療と長い療養期間を終えて、現在では完全に元気になったシモーネ。
この事によりいままでの自分の仕事を見つめ直し、これからのキャリアへの舵取りをする指標になったと語っている。
現在はきちんと機能し、人々が購入して普通に家に置いて使える物たちの作成に取り組んでいる。電気カレンダー(写真)やねじ回し機能が付いたジュエリーリングがそうだが、ホームページで購入できる。
そんな使えるモノの中でも再度注目を浴びたのがテスラを改造してピックアップ仕様にしたTrucklan。
運転すると人々が写真を撮ったり、後を付いてきたりと色々な問題が生じるので結局は運転できず家に置いたまま、最近パーツをオークションにかけてBlack Lives Matterなどに寄付している。
彼女のいま1番の夢は大きい小屋に沢山の機械を持ち込み、エンジニアのチームと一緒に自分がスケッチしたアイデアをテスト作成する事だ。テクニックそのものではなく、その技術により何が、そして何を産み出せるかが自分の原動力になっているという。
洋服のハンガー制作に2年以上も費やしているが、それが使えて購入できるものになるのか、それとも未だに女王の名に相応しいShittyなものになるか乞うご期待!
携帯電話の使用を減らすようにと作った鼠取り携帯ケース
(これだと確かに携帯にどっぷりハマらなくなるかも)
HBOの人気シリーズ「WestWorld」のシーズン2では自分をロボットに化した(ホラー?)ショートムービーを作成した。
text: Sakiko Jin
神咲子
在スウェーデンライター。コーディネート業も行うが、本業はレストラン業だった。そして50歳を過ぎてから、鉄道の電車の運転手に。スウェーデンの北部ウメオ市とスンズヴァル市を運転する日々を送る。