25歳の若さで王位に就いたエリザベス女王が、政治情勢や家族との関係における苦悩や葛藤を乗り越えながら、偉大な英国君主なっていく姿を描いたネットフリックスのドラマシリーズ「ザ・クラウン」。2016年から放映され、昨年末にオンエアされたシーズン6で完結したものの、王室メンバーの人間味あふれる姿をダイレクトに描いて大きな話題を呼び、世界的な大ヒットを記録した。
実話に着想を得て作られたフィクションだが、「バッキンガム宮殿で撮影したの?」と思えるほどに精巧に作られたセットと小道具、ロイヤルファミリーや時の大物政治家を演じた俳優たちが身につけていた豪華な衣装が物語のリアリティに貢献したのは間違いないだろう。
このたび、それらの品々がオークションにかけられることになり、2月5日までロンドンのオークションハウス「ボナムズ」で展示されている。出品数は450点を超える。
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さまざまなシーンを飾った衣装たち。背後にあるのはバッキンガム宮殿の門のセット。
エレガントなドレスが並ぶコーナーは圧巻!
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若き日のエリザベス女王を演じたクレア・フォイが広報用のヴィジュアルでまとっていたパウダーブルーのドレスとファーコートや、チャールズ皇太子がカミーラとの不倫を認める発言をしたその夜にダイアナ妃が出席したパーティで着用し、その美しさとセクシーさから「リベンジドレス」と称された一着にインスパイアされた衣装も並ぶ。
クレア・フォイが着用したドレスとファーのストール。予想落札価格は5,000〜7,000ポンド。photography: courtesy of Bonhams
シーズン1スタート時に使われた広報用ヴィジュアル。photography: © Netflix 2020, Inc.
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エリザベス・デビッキが扮するダイアナ妃が着た「リベンジドレス」。実際にダイアナ妃が身につけたドレスはクリスティーナ・スタンボリアンのデザインだった。photography: courtesy of Bonhams
「ザ・クラウン」の「リベンジドレス」のシーン。photography; © Netflix 2020, Inc.
若き日のダイアナ妃を演じたエマ・コリンが、婚約発表の際に着用したアンサンブルも並ぶ。落札予想価格は1,500〜2000ポンド。photography: courtesy of Bonhams
スカイブルーのスカロップエッジのジャケットとボウタイのブラウスは、実際の婚約発表時の装いをほぼ忠実に再現している。photography: © Netflix 2020, Inc.
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戴冠式などの王室の大切な行事で使用されるゴールド・ステートコーチのリプリダクションは細工の細かさに目を見張るほどだ。
ゴールド・ステート・コーチの落札予想価格は30,000〜50,000ポンド。photography: courtesy of Bonhams
そのほかに数々の小物とともに、衣装作りのためのイメージボードやデザイン画、セットのモデルなどもあり、興味深い。
ドラマではロイヤルファミリーの面々がお酒を片手にするシーンがたびたび登場していたが、その小道具もオークションに出品されている。photography: courtesy of Bonhams
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大のコーギー好きだったエリザベス女王。そんな彼女を物語るこまごまとした品も。photography: courtesy of Bonhams
これらのうち、約150点は2月7日にロンドンの「ボナムス」でオークションにかけられ、それ以外のおよそ300点のアイテムは1月11日から2月8日までのオンラインオークションで扱われる。7日のオークションでの売り上げ全額はナショナル・フィルム&テレビション・スクールでの「ザ・クラウン奨学金プログラム」に寄付され、業界を目指す人々の教育に充てられることになっている。
ドラマの現場で使われた品を実際に見られる貴重な機会。チャンスがあればぜひ訪れてみては?
www.bonhams.com/auction/29243/the-crown-auction
在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。