デンマーク人が過ごす、バルト海に浮かぶボーンホルム島のヴァカンスとは?

世界は愉快 2024.08.14

冨田千恵子

冬の日照時間が短い北欧の人々の夏休みといえば、太陽の光を求め、ギリシャなどの南ヨーロッパで過ごすのが定番だが、近年は気候変動を配慮し、国内で過ごす人も増えた。特に大小400以上の島々があるデンマークの場合、島リゾートのバリエーションが豊富で選ぶのに迷うほど。なかでも特に人気なのが、バルト海に浮かぶ、ボーンホルム島。コペンハーゲンから電車とフェリーを乗り継いで約3時間半という手軽さで、人口4万人の島に夏季には国内外から60万人が訪れるという。

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ボーンホルムの海辺。これは、毎年6月に開催される「フォルク・ムード(人々の集会)」と呼ばれる、国民と政治家、企業家などが党派を越えて交流したり、討論するフェスティバル。photography: Semko Balcerski

ボーンホルムの魅力といえば、まずその地形。平らな国デンマークには珍しい花崗岩から成る岩場と白い砂の海岸線に、太陽の光がふんだんに降り注ぐ。その美しさは、「サンシャイン・アイランド」、「バルト海の宝石」などと形容され、多くのアーティストたちが移り住み、島の絶景をヒントに、絵画、ガラス工芸品や陶器などを創作し、自身のアトリエショップなどに展示する。

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ボーンホルムの現代工芸作家の展示ギャラリーのひとつ、グロンベックスゴー(Grønbechs Gård)。ガラス、陶芸など、いま注目されている現代作家の作品をみることができる。photography: Destination Bornholm

また、地元の小規模農家の努力で、質の高い食材が増え、それらを活用した地元発の「レストラン・カドー」がコペンハーゲンに進出、ミュシュラン1ツ星を獲得したことで、グルメの島として有名になった。とはいっても、ファインダイニングだけでなく、名物のニシンの燻製をのせたオープンサンドも味わいたい。

ちなみに定番の観光スポットは、北欧最大の城跡「ハマーフース」や白い外壁の教会「オスターラース・ラウンドチャーチ」で、いずれもその歴史は12世紀に遡るという。

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新北欧料理からヒントを得た、旬の野菜やハーブなどをトッピングしたおしゃれなひと皿から、港の燻製所で食べる伝統的な燻製ニシンのオープンサンドまで幅広く楽しめる。photography: Destination Bornholm

昼はビーチでリラックス、沈む夕陽を眺めながらグルメ料理を堪能し、時には中世の建物を巡り、その歴史に想いを馳せる。

また、アウトドア派なら、クライミング、ハイキング、カヤックなど、島の地形を最大限に楽しむ過ごし方もおすすめ。特にクライミングはルートが400以上もあるから、専用アプリで自分のレベルに合わせて選んでみて。

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左:コペンハーゲン市庁舎や国立博物館の建物に使われた、ボーンホルムの花崗岩は、「ヴァン花崗岩採石場"Vang Granite Quarry"」から運ばれた。1996年に閉鎖されたが、跡地はピクニックやクライミング、マウンテンバイクのコースとして完備されている。島の手付かずの自然を体験したいアウトドア派におすすめ。右:岩肌の崖が多いボーンホルムの海岸沿いは、クライミングに最適。出発前に専用アプリ、"Climbing on Bornholm"で、コースの状況をみたり、自分のレベルにあったコースを選ぶ。photography: Semko Balcerski

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ボーンホルムのビーチといえば、サラサラの白い砂と透きとおった海水。特に島の南は水深が浅く、小さな子どもたちに最適で、家族でバルト海での海水浴を堪能できる。photography: Semko Balcerski

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島でいちばん大きな教会、「オスターラース・ラウンドチャーチ(Østerlars Round Church)」は、年間約12万人が訪れる観光スポット。デンマークでは珍しい円形の建物は、12世紀半ばに完成したといわれ、一見の価値あり。photography: Semko Balcerski

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島の北側、アリングにある中世の城の遺跡、「ハマースフース(Hammershus)」。同時代の城では北ヨーロッパ最大といわれる。ボーンホルムの観光スポットのひとつ。photography: Semko Balcerski

夏の熱気が岩層に蓄えられる地形ゆえ、10月くらいまで暖かいボーンホルム。北欧の短い夏が終わっても行きたくなる、コペンっ子たちのお気に入りの島なのだ。

問い合わせ先:
https://bornholm.info/en/

冨田千恵子

コーディネーター兼ライター。デンマーク在住30年以上。デザイン、建築、アート、街並み観察、犬ネタが得意なジャンル。音楽はラヴェルが好きな北欧のフランスファン。
Instagram: @chi.tomita photography: Kazue Ishiyama

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